相続税の延納で不動産を手放さずに済んだ事例
遺産の大半が不動産の場合は、すぐには相続税を用意できず、かわりに土地を手放すことになるかもしれません。父の残した賃貸不動産が負の遺産になってしまったケースを見ていきましょう。このケースでは、相続税の延納手続きを行うことで、不動産を手放さずに済むことになりました。
自宅以外に賃貸不動産を購入していた
ひとりっ子の洋介さんは、大学進学と共に実家を離れ、就職してからもひとり暮らしをしていました。その後、結婚して、子どもが生まれてからも年に数回は実家に帰り、離れて暮らしてはいたものの、両親との関係は良好でした。
しかし、洋介さんが40代の後半になるころ、母が病気に倒れ、そのまま帰らぬ人となってしまったのです。当時の父はもうすぐ70歳になるところで、ひとりで家事などをするのにも無理が出てきたため、洋介さんは同居することに。一緒に暮らし始めて数年がたったころ、母と同じように父が、突然の病気で倒れました。
これを機に父は、看病をしていた洋介さんに、これまで話していなかった財産に関する話を始めました。それによると、父は自宅以外に賃貸不動産を購入しており、それを管理することで収入を得ていたそうです。
相続税の延納で利益率のいい物件を所有
その購入資金に充てたため預貯金はほとんどないけれど、不動産のローンはほとんど返済できているので、問題なく相続もできるはずとのことでした。
その言葉を残し、父は1カ月ほどで亡くなり、洋介さんの元には、わずかな預貯金と賃貸不動産が残されることになりました。この不動産について調べてみると、毎月60万円ほどは利益が出ています。
しかし、相続税がおよそ500万円にもなってしまいました。困った洋介さんは、父が生前に相談していたという司法書士に連絡をとり、相談してみることにしました。
その結果、利益率もいいためその物件は所有していた方がいいとのこと。相続税の延納手続きを行うことで、納税期限を先延ばしにした方が利子税があっても得だといわれたので、それを信じて延納を申請。無事に納税を果たしたのです。