相続税の申告で税務調査が入る確率は20~30%
相続税を申告したうち、20~30%ほどの確率で税務調査が入っています。財産はもちろん、親族まで調査の対象になります。まさかの箇所まで調べられる税務調査で大慌ての事態になった実例を見ていきましょう。相続税の税務調査がどれだけ細かく行われるかが垣間見られる実例です。
税理士から相続税の税務調査の連絡
長年の闘病生活の末に、夫を亡くした明子さん。夫は若いころから真面目で仕事熱心な人だったため、ひとり息子が一人前になるまでを立派に育て上げたうえに、明子さんの生活に困らないだけの貯蓄を残してくれました。
夫は貯蓄以外にも自宅などを相続財産として残していたため、少しは相続税がかかるかとも思ったのですが、税理士に相談したところ、相続税はかからないとのこと。自宅を配偶者控除で相続し、残る財産を生活に困らないように息子と分けあえば、問題ありませんでした。
しかし、そのようにして指示を受けつつ相続税の申告を済ませてからおよそ2年が過ぎたころ、税理士から連絡が。相続税の税務調査があるため、その日程調整をしたいとのことでした。明子さんは不安だったのですが、税理士からは、「自分に任せてくれればなにも心配はない」といわれました。
そして税務調査当日、朝から調査員がやってきたのですが、最初は夫の経歴や闘病生活のことなどを簡単に質問されました。そしてその後、話は夫が残した財産とその管理の話題へ。当日は長男にも来てもらっており、明子さんと長男の双方に質問を重ねていきます。
相続税の税務調査で貸金庫も調査
そして昼食後、午後になると、調査員から現物確認をするという話に。そして、明子さんや夫、長男の通帳を確認し、写真を撮り始めました。明子さんはそんなことをするとは思っておらずとにかく不安でした。
一通り写真を撮り、これで終わりかと思っていた明子さんに調査員がいったのは「次は貸金庫の調査です」という言葉でした。明子さんもそんなところを調べるとは思っていなかったので驚いてしまいました。
貸金庫に保管されていたのは、車の証明書や印鑑証明書など。しかしなかから、夫の筆跡で、長男の名前と「家」「1000万円」と書かれたメモがみつかりました。調査員はそれについて聞いてきましたが、これは長男が家を買うにあたって夫が贈与していた財産のことだったため、問題にはなりませんでした。
税務調査を受けたうえ、貸金庫まで確認されることに不安を感じていた明子さんでしたが、何事もなく終えてホッと胸をなで下ろしました。