不満が渦巻く相続で認知症がトラブルになる実例
被相続人が認知症になる不安があるのなら、前もって対策をしておくことが大切です。法的手続きをとっておけば、その後の相続時も安心でしょう。認知症の疑いがある母の相続に関して、不安に思っている人も多いはず。そんな認知症の疑いがある被相続人の相続に関しての実例を見ていきましょう。
義母が相続したことに不満を抱いていた
明子さんは現在50歳で、義母と同居しています。義父はすでに逝去。明子さんの夫は、義父が亡くなったときに、ひとり暮らしすることになった義母のために、実家に戻って世話をしてやりたいといいました。
明子さんはこの希望をふたつ返事で承諾。若いころに両親を亡くした明子さんを、義理の両親は本当の両親のように気遣ってくれました。そのため、明子さんは、その恩返しができると考えたのです。
しかし、この同居をあまりよく思わない人物がいました。それが、夫の兄嫁です。後に夫から聞いたところによると、兄嫁は、義父が亡くなったときに財産を相続できなかったことを根に持っているようです。
兄嫁は自宅を購入してから住宅ローンに苦しめられており、その支払いに遺産が使えると期待していました。しかし、義母が遺産のほとんどを相続したことで、不満を抱いていたのです。
認知症の預貯金は勝手に引き出せない
しかし、この相続は義父の遺言によるものであり、明子さん夫婦は一切口出ししていません。もちろん、義父が亡くなった時点で、兄夫婦とも明子さん夫婦と義母の同居について相談していましたが、これについては夫や義兄からも同意を得ていました。
こういった経緯があったにもかかわらず、兄嫁は明子さんが遺産目当てで義母と同居しており、義母の財布を握って贅沢しているに違いないと考えているようなのです。
そんなある日、義母が家のなかで転んでしまいました。ケガ自体は大したことなかったものの、腰を痛め、立ち歩くのが少し困難に。しばらくは在宅介護のサービスを利用しつつ、夫婦で生活支援をしていたのですが、徐々に認知症の兆候も現れ始めたため、付近のホームに入居してもらうことになったのです。
このときに明子さんが心配したのが、今後の介護費用です。いまは義母の預貯金から必要な分を引き出していますが、明子さんは以前テレビで「認知症になった人の預貯金は、家族でも勝手に引き出したりできない」といっているのを聞いたことがありました。