変動する相続財産にはそれぞれに評価額の計算法
相続財産のなかには、株式や不動産など計算するタイミングによって価値が変動してしまうものも少なくありません。そういった財産の評価額については、被相続人が死亡した日を基準として市場価格から時価を算出し、それをもとにして課税評価額を判断するのが原則です。しかし、財産の種類によっては、たまたまその日の直前に価額が暴落したり、暴騰したりと、大きく価値が変動してしまうようなこともありえます。
それぞれ評価額を求め相続人を決める
また、株式や土地などの場合、株価や広さが同じであったとしても、会社の規模や土地の価値などはさまざま。ひとつの基準に基づいた計算法だけでは、正しい価値を判断しきれません。
そのほかにも、自動車などの場合、同じ車種、同じ使用期間だったとしても、運転する頻度、メンテナンスの良さ、事故の回数など、使用者の条件によって状態に大きく差がある可能性があります。
車種や使用期間、走行距離などは重要な判断基準のひとつではありますが、それだけで評価額を推し量ることはできず、単純に市場価格だけでは判断することはできません。
さらに、同じ不動産でも山林や農地があったり、貴金属や宝石、書画、骨董品、ゴルフクラブなどの会員権も相続財産に含まれる立派な財産です。それぞれ評価額を求め、相続人を決める必要があります。
種類や条件に応じた複数の評価額計算
こういった財産を的確に評価するため、一部の財産にはその種類や条件などに応じた複数の計算法や、評価の基準とする時価を算出する日付などが設定されています。
これに加えて、生命保険の保険金のように、「みなし相続財産」として相続財産になるものがあります。こちらも、控除額が大きいとはいえ課税対象となる立派な相続財産。きちんと計算しなければいけません。
また、こうした「みなし相続財産」のように、同じ財産でも評価額や控除額の面で特例が適用される財産があります。住居を相続する場合、相続人や相続後の財産の扱い方次第で利用できる特例があるため、それについても詳しく確認しておくことが必要です。