相続財産の上場株式には4種類の評価方法がある
被相続人が投資を行っていたという例は少なくありません。公社債や株式、投資信託など、投資財産にはさまざまです。とくに、上場し、公表されている公社債や株式の評価額は、急に上下することも少なくありません。市場価格は評価額に直結し、評価の時期によって評価額も課税額も変わってくるのです。詳しく見ていきましょう。
評価額が市場価格に依存する相続財産
株式や公社債の評価額は、基本的には相続が開始した時点、つまり被相続人の死亡時の金額が基準です。しかしそれだけでは、たまたまその日に被相続人が亡くなったために、非常に高額の相続税を課せられ、損をしてしまうこともありえます。
そこで、評価額が市場価格に依存する財産については、相続開始日以外にも、計算の基準となるいくつかの日付が用意されています。株式なら、相続開始日の最終価格とその月、またはその前月、その前々月の最終価格平均額のうちもっとも低い金額が基準です。
具体的には、株式が上場されている証券取引所が公表する4種類の価格のもっとも低い株価とされています。4種類の価格とは「相続開始日の最終価格」「相続開始日が含まれる月の最終価格平均額」「相続開始日が含まれる月の前月の最終価格平均額」「相続開始日が含まれる月の前々月の最終価格平均額」です。
非上場株式の評価方法はかなり複雑
最低金額というと、安いものを相続させられるように感じるかもしれませんが、これはあくまで課税評価額の話。この金額が安ければ安いほど課税額が下がるため、もっとも低い株価が選択されるのです。
非上場株式の評価方法はかなり複雑で、相続人が経営権を持つ同族会社などの場合は「原則的評価方式」、相続人が経営支配力のない場合「配当還元方式」となります。
原則的評価方式は売上高などにより大会社、中会社、小会社に分類され、大会社は「類似業種比準方式」、 中会社は「類似業種比準方式と純資産価額方式併用」、小会社は「純資産価額方式」は会社の総資産や負債を基にするという決まりです。