相続確定前に引き出せる預金の仮払い上限額は?
2018年に大きな変更が可決された相続・贈与に関する民法。2020年の7月までに徐々に施行されています。この改正でとくに大きく変わるのが、相続に関する法令です。これまでの法体制は、家庭裁判所や各家庭の現状に合わないものがあまりに多く、トラブルの原因にもなっていました。
相続財産の一部である預貯金を仮払い
民法改正で変更された大きなポイントは「配偶者による住宅の相続」「遺言書の作成・保管」「預金の仮払い」「法定相続人以外の寄与」です。いざというときに備えるために、変わった点を確認していきましょう。
相続手続きにおける改正について、とくに大きいのは相続財産の一部である預貯金を仮払いとして、相続確定前に引き出せるようになったことです。通常、銀行は名義人が亡くなったという情報を受けた時点で、その口座を凍結します。
これは、一部の相続人が勝手に財産を引き出して使用するのを防ぐための措置。凍結口座から引き出すには、遺産分割協議書や遺言書の写しが求められました。つまり遺産分割手続きが完了していないと、預貯金には相続人でも手出しができなかったのです。
相続預金の仮払い上限以上は家裁申請
しかし、改正後は、所定の手続きを行えば、必要な金額を引き出すことが可能になりました。申請先は金融機関か家庭裁判所。金融機関の場合、比較的簡単で相続人ひとりだけでも行えます。
預金の仮払い上限額はひとりにつき「残高の1/3×法定相続分」、またはひとつの金融機関で150万円までです。もし葬儀費用などで上限以上の資金が必要になった場合は、家庭裁判所に申請を行います。
ただし、このときは、相続人全員で手続きをしなければなりません。上限額はありませんが、仮払いの正当な理由が求められます。手続きの手間などを考えれば、基本的に金融機関で済ませた方がよいでしょう。
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