自筆証書遺言をもっと手軽に残せる改正内容とは
民法大改正によって遺言書に関する変更も行われます。被相続人の意思を残した遺言書の内容は遺産分割協議よりも優先されるので、これがあれば相続の手続きはとてもスムーズになります。ところが、現状をみると相続に向けて遺言書を残している人は決して多いとはいえません。
自筆証書遺言が一番手軽で自由に書ける
55歳以上の高齢者を対象としたアンケートの結果でも、85%以上の人が遺言書を作成したことがなく、60%以上の人が、作成する気もないと答えています。
遺言書には大きく分けて3種類ありますが、一番手軽なのは自由に書ける「自筆証書遺言」です。ただ、有効な遺言とするためにはいくつかの条件があります。遺言の内容を書いた遺言書と財産目録が必要というのもそのひとつですが、従来はどちらも自筆であることが条件でパソコンで作ったものは認められませんでした。
それが改正によって、自筆署名があれば目録は印刷されたものでも可能になりました。目録には不動産の所在地や地所番号、広さ、預貯金の金融機関や金額など、細かい情報も数多く記載しなければいけません。
自筆証書遺言のハードルが低くなった
自筆証書遺言は書き損じの訂正などにも細かい規定があり、自筆では作成者にかかる負担は大きいものでした。条件緩和によって遺言書の作成件数が増加することが期待されています。
たとえば、登記事項証明書や預金通帳のコピーに署名押印したものを自筆証書遺言に添付して、目録の代用に使うことも可能になりました。遺言書作成のハードルがとても低くなったのです。
この自筆証書遺言については作成の簡素化に加え、法務局による保管制度も開始されることになりました。作成した遺言書と目録に自筆で日付と署名・押印したものを封筒に入れ、封をせずに法務局に持って行けば、相続開始まで保管してもらえます。
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