自筆証書遺言の保管制度が2020年7月から開始
2018年に民法改正の法案が可決され、2020年の7月までに徐々に施行されています。現在、日本の民法は大きな過渡期にあります。具体的には「配偶者による住宅の相続」「遺言書の作成・保管」「預金の仮払い」「法定相続人以外の寄与」に関する制度が変更されたことが大きなポイントです。
自筆証書遺言は一番手軽な遺言書
中でも注目すべき大きな変更に、遺言書に関するものがあります。被相続人の意思を残した遺言書は遺産分割協議よりも優先されるので、これがあれば相続はとてもスムーズです。
遺言書には大きく分けて3種類ありますが、なかでも一番手軽なのが自筆証書遺言。被相続人が自ら作成できますが、法律で定められた形式通りに書いていなければ、相続の際には認められません。
自筆証書遺言書の作成時に必要になってくるのが、遺言書と一緒に、財産目録を作ること。遺言本体も目録も、手書きで作成しなければいけませんでした。
しかし、これが改正され、財産目録は、自筆署名さえあれば手書きでなくても認められることになったのです。目録の作成にも細かい規定があり、作成者の負担になっていましたが、この条件が緩和されたのです。
自筆証書遺言の法務局による保管制度
さらに、2020年の7月からは、自筆証書遺言の法務局による保管制度も開始が予定されています。封をする前の遺言書を法務局に持って行けば、その場で中身に不備がないかなど、最低限の確認を受け、相続開始まで保管してもらうことができるようになるのです。
法務局では原本を保管するだけでなく、画像データ化して保存し、相続開始後、相続人の申請で写しを送ったりデータを公開したりします。これにより、自筆証書遺言の紛失・偽造・改ざんなどのリスクを回避できるようになりました。
また、遺言を実現させる遺言執行者についても、「被相続人の代理」という記載が追加され、その役割と権限が明確になりました。