航空自衛隊の戦闘機部隊が例を見ない移動を実施
2016年度はここ30年、例を見ない大規模な戦闘機部隊の移動が行われています。南西方面海洋での軍事活動が顕著な中国軍航空機への対応を想定し、それに対応した航空自衛隊の戦闘機部隊の配置転換を実施。九州・沖縄方面への戦力が増強されました。航空自衛隊の戦闘機部隊の移動について見ていきましょう。
F-15J/DJの集中運用が可能
南西地域の防衛強化と各種事態の抑止、対処可能な航空優勢維持のため、那覇基地(沖縄県)の制空戦闘機飛行隊を2個飛行隊に倍増して、第83航空隊を「第9航空団」へと昇格。
築城基地(福岡県)の第8航空団に、三沢基地(青森県)から移動してきたF-2A/B装備の第8飛行隊を加えて、2個支援戦闘機飛行隊にする「戦術戦闘攻撃航空団」に特化格上げ。
宮城県・新田原基地(第5航空団)のF-4EJ改装備の第301飛行隊と、茨城県・百里基地(第7航空団)のF-15J/DJ装備の第305飛行隊が入れ替わり、F-15J/DJの集中運用を可能としています。
高水準戦闘機パイロットを養成
さらに戦闘機部隊の対戦闘機戦術の強化、練度向上が目的である「飛行教導群」を、広大な日本海の訓練空域に隣接する小松基地(石川県)へ移動。これは高水準戦闘機パイロットの養成を効率化する、人的な戦力増強といえます。
しかし、首都防空を担う百里基地(茨城県)の第7航空団が退役間近のF-4EJ改の2個飛行隊になり、明らかに戦力ダウン。紆余曲折あった主力戦闘機更新遅延の代償といえますが、百里基地に同居する偵察航空隊のRF-4E/EJとの整備維持管理の統合効率化もあり、現時点で最良の配置といえるでしょう。
なお、第8飛行隊の移動により、第3飛行隊にのみになった三沢基地(青森県)の第3航空団には、2017年度以降、百里基地に展開しているF-4EJ装備の飛行隊が三沢基地に移動。正式にF-35装備部隊となる予定です。同時に第3飛行隊が百里基地に移動するものと予想されています。