葬儀後にするべきさまざまな事務処理と香典返し
葬儀を行い火葬まで済んだら、それで遺族がするべきことがすべて終わりかというと、そんなことはありません。葬儀はあくまで、故人を送り出すために行う儀式。葬儀後には、今度は事務的ないくつかの手続きや弔問客へのお礼、一定期間で訪れる故人を祀る祭祀など、いくつもすべきことがあります。
葬儀後は世話役から引き継ぎを行う
葬儀後にも、遺族にはさまざまな責任があるのです。気を抜きすぎず、準備と心構えをしっかりとしておかなければいけません。まず、葬儀が終わったところで、葬儀当日に世話役を買ってでてくれた人に対する精算や、事務的な引き継ぎが必要になります。
葬儀当日は喪主を中心に、全体の取り仕切りや会葬者への挨拶など、することが多いため、どうしても忙しくなりがちです。そこで、世話役というかたちで、受付などを代行してくれる人を立てるのです。
そのため、一通り当日するべきことが終わった葬儀後は、その世話役から、当日の会葬者、弔辞、弔電、供花などについて引き継ぎを行います。これらを整理しておかないと、あとあと香典返しなどを送ることもできなくなってしまいます。
葬儀後はさまざまな事務処理が必要
そのほか葬儀後は立替金の精算など、さまざまな事務処理が必要です。また、大変な仕事を手伝ってくれた世話役の人に対するお礼のあいさつは、遅くても初七日までに行うこと。基本的に手土産は必要ないとされています。
しかし、最近は手土産や現金、ビール券などの金券類のようなお礼を渡すことも少なくありません。葬儀当日に「御車代」というかたちで礼金を出す場合もあります。
次に、それまで協力してくれていた葬儀社への支払いや、葬儀を行ってくれた寺院、神社などへのお礼です。葬儀社には、事前に見積もりを立ててもらい、その金額を元に、実際にかかった費用を支払います。
その際には、見積もりと支払いで金額に差がないかを確認し、もし疑問があれば、それが解決するまで確認を怠らないことが大切です。
葬儀後に会葬者たちに送る香典返し
一方、葬儀後は寺院などへ「支払い」としてではなく「お礼」を渡します。このお礼金については宗教によって扱いが変わりますので、表書きに問題がないように注意が必要です。たとえば、仏教なら「御布施」、キリスト教なら「献金」、神道なら「御祭祀料」となります。
なお、これらの宗教家への謝礼費用は、相続税の控除にも関わるものです。実際にいくらかかったのか、誰が支払いを行ったのかなど、詳細に記録し、領収書などを残しておくようにしなければいけません。
さて、こうしたお礼や支払いといったこと以外にも、葬儀後に遺族が行わなければならないことがあります。葬儀にきてくれた会葬者たちに送る香典返しです。
送る品物の値段は、香典の半分から3分の1程度が相場になっており、食べ物などの消耗品を送るのが基本。仏教では四十九日の「忌明けの法要」、神道では五十日祭、キリスト教なら1カ月後の昇天記念日以降に、お礼状を添えて送ることになります。
即日返しでも葬儀後にお礼を送る
ただし、最近はタブーもあまり気にされないことが多いため、タオルなどの実用品や、商品を選べるカタログギフトなどが一般的です。こちらも表書きには要注意。「御礼」や「志」などと書きます。
また、故人の勤務先から、同僚一同からなど、複数人の共同で香典をいただくこともあります。この場合は一般的に香典返しは送りません。なかには香典袋に香典返し不要と書いている人もいますので、その場合も香典返しはなし。お礼状だけを送るのがマナーです。
最近は、葬儀や通夜などの当日にその場でお礼の品とお礼状を渡す「即日返し」もよく行われますが、この場合、香典の金額などに関わらずお礼の品が同じになってしまいます。不公平になってしまうので、香典の金額が高い人には、香典の金額に合わせて葬儀後に忘れずにお礼を送るようにすることが大切です。
葬儀で故人を送ったら、親族には故人のあとを引き継いだ遺族としての責任があります。これをきちんと果たすことが求められるのです。お世話になった人たちに失礼がないように、きちんと準備しておかなければいけません。