被災者生活再建支援制度は申請手続きに期限アリ
日本は世界的にみても地震の数が多く、地震大国といってもいいほどの国です。1995年の阪神・淡路大震災や2011年に起きた東日本大震災のように、多くの世帯が壊滅的な被害に遭った例も少なくありません。災害で家が壊れたときにもらえる「被災者生活再建支援制度」について見ていきましょう。
被災者生活再建支援制度に細かい制限
災害は個人の意思ではどうやっても避けることはできず、被害に遭えば多くの財産を失うことになってしまいます。そのため、生活に対する支援とは別に、住居の再建などの費用を支援する制度が用意されているのです。
さまざまな自然災害によって、一定以上の被害を受けた人に支払われる支援金が「被災者生活再建支援制度」。被災した人々の支援と、一刻も早い復興を目的として制定されました。申請先は市区町村窓口です。
ただし、被災者生活再建支援制度の対象となる災害には以下のように細かく制限が設けられています。1つめは「自治体の人口に応じて設定された規定数以上の住宅で、居住が困難な状態が発生した」、2つめは「1市区町村で合計で10世帯以上の住宅が全壊被害を受けた」、3つめは「1都道府県内で合計100世帯以上の住宅が全壊被害を受けた」というものです。
さらに4つめに「1か2の市区町村が属する都道府県で、5世帯以上の住宅が全壊被害を受けた市区町村」、5つめに「1~3の区域に隣接している人口10万人未満の市区町村を含む都道府県内で、5世帯以上の住宅が全壊被害を受けた市区町村」となります。
被災者生活再建支援制度の給付条件
そして、6つめが「1か2の市区町村を含む、または③の都道府県が2つ以上ある場合に限り、人口10万人未満で5世帯以上、5万人未満で2世帯以上の住宅が全壊被害を受けている市区町村」というもの。以上の条件を満たせば、広範囲で大規模な被害を与える災害であったと認められ、支援の対象になります。
また、該当する都道府県や市区町村のなかでも、対象世帯には条件があり、実際に被災者生活再建支援制度による給付されるのは、以下の被害を受けた世帯だけです。
「住宅が全壊してしまった」「住宅が半壊した、あるいは敷地に被害が発生してしまい、その住宅を解体せざるを得なかった」「災害によって、その住宅に住み続けるのが危険な状態になっており、その状況が長く続いている」「住宅が半壊し、居住するために大規模な改修が必要」となります。
以上のような条件があるため、実際に支援を受けるのは一部の世帯に限定されます。ただし、この法律が適用されない世帯や対象とならない規模の災害であっても、各自治体によって、個別に対応が検討される場合もあります。実際に居住が困難になった場合などには、まず自治体に相談してみるといいでしょう。
被災者生活再建支援制度による支給金
被災者生活再建支援制度による支給金の額は、住宅の受けた被害と、それを復旧するための方法に応じて変わります。まず、被害に応じた金額は、住宅が全壊している、解体が必要である、長期避難が求められる場合に、それぞれ100万円ずつ支給されます。
もし全壊まで至らなかったとしても、規模が大きい半壊状態だと認められた場合には支給金額は50万円です。
これに加えて、被災者が住宅を復旧する方法に応じて一定の資金が支給されます。改めて家を建て直す、または購入するなら200万円、補修する場合なら100万円、公営住宅以外で賃借するなら50万円の支給です。なお、ひとり世帯ではこれらの金額がすべて4分の3になります。
被災者生活再建支援制度の申請手続き
被災者生活再建支援制度が適用される都道府県の公示を受けた市区町村が、被災者宛てに罹災証明書を交付するので、それを受け取ったら市区町村役場に行き、申請書を記入。住民票、預金通帳の写し、住宅の契約書と罹災証明書を添えて、窓口に提出します。
ただし、被災者生活再建支援制度の申請手続きにも期限が設けられています。住宅の被害に応じて支払われる基礎支援金については、被害を受けてから13カ月以内、再建方法に応じて給付される加算支援金については37カ月以内に申請を行わなければいけません。
被災者生活再建支援制度の条件はかなり複雑ですが、基本的に自然災害による被害を受け、罹災証明書を受け取ったら申請可能です。申請の流れを確認したところで役所に相談し、期限に間に合うように届け出を行うようにしましょう。