調停調書には法的な拘束力「強制執行」も可能
相続の手続きでとくにトラブルの原因になるのが遺産分割です。まず遺言書が残されている場合は、内容にしたがって財産を分ければ問題はありません。しかし、遺言書がないときには、相続人たちが話し合って分割方法を決めなければいけません。協議で解決できない場合は、調停によって調停調書が作成されます。
裁判所の調停によって調停調書が作成
遺遺産分割協議は相続人全員の同意で決定するため、参加を拒否したり、協議内容に納得できない人がいると、相続も進められません。合意が得られたら、内容を遺産分割協議書にまとめて、全員の署名や作成日時などを書き入れ、各自で保管します。
協議で解決できない場合は、家庭裁判所に間に入ってもらいます。これが「遺産分割調停」です。専門家の意見を聞きながら冷静に話し合い、解決の糸口を探るのです。
調停申立書が適法に受理され、これが相手に送達されると、裁判所から調停を行う日を指定されます。期日には裁判所に出頭し調停委員に主張を伝えて、双方の合意を目指すのです。全員が調停によって合意すれば、調停調書が作成されます。
調停調書は「強制執行」も可能となる
調停調書は裁判所発行のため法的な拘束力も持つ書類です。調停調書をもとに決まった内容を実現させる、「強制執行」も可能となります。調停が成立した段階で、調停調書通りの遺産分割をせざるを得なくなるため、内容に納得できない場合はその都度きちんと意見を伝えることが重要です。
調停期日の回数や期間に制限はなく、合意が成立する見込みがある限り何度でも調停は開かれます。遺産分割調停は期間がかなり長くかかることも多く、1年や2年以上も調停を続けているケースもあるのです。
ただし、それでも解決の兆しが見られないような場合には、家庭裁判所による審判を受けることになります。こちらは話し合いではなく、各自の主張を聞いて裁判所が裁定するかたちです。