住宅の贈与は控除される贈与税と別に税金に注意
遺産分割によって一緒に暮らしていた配偶者が自宅を失うようなことがないようにするために、配偶者控除を利用して自宅を生前に贈与しておくというのは、ひとつの方法でした。配偶者控除の控除額は2000万円とそれほど大きくありませんが、権利の半分を渡しておくだけでもトラブル回避には効果的だったのです。
贈与税の配偶者控除と基礎控除の合計
しかし、2018年の民法改正によってこの状況は大きく変化しました。相続財産に自宅が含まれる場合、同居していた配偶者には、居住権が認められることになったのです。
そのため、これから自宅を配偶者へ贈与することがあるとしたら、確実にその所有権を譲りたいというケースくらいでしょう。配偶者への自宅の贈与は、遺産分割への持ち戻しも免除されているため、安心して譲り渡すことができます。
贈与税の配偶者控除の対象となる財産は「国内の居住用の家屋、土地」または「国内の居住用の家屋、土地を取得するのに必要な資金」です。贈与税の配偶者控除2,000万円と贈与税の基礎控除額110万円を合わせて「2,110万円」まで非課税になります。
贈与税とは別に登記には税金がかかる
ただし、この場合は控除の対象となる贈与税とは別に、登記手続きに課せられる税金に注意しなければいけません。これを登録免許税と不動産取得税といいます。どちらも税額の基準となるのは、取得する物件の固定資産税評価額です。
登録免許税の税率は、相続の場合で0・4%、贈与なら2%になります。もうひとつの不動産取得税は、相続による登記なら非課税で、贈与であれば土地と建物をまとめて登記する場合には3%、建物だけなら4%の課税です。
どうしても自宅を生前に贈与し、所有権を移したいという場合でも、こうした登記にかかる税金のことは充分に考えておく必要があります。
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