贈与税額控除は税金の二重納付を避ける制度
相続税に適用できる控除には「未成年者控除」「障害者控除」「相次相続控除」「贈与税額控除」「外国税額控除」そして「配偶者控除」の6種類があります。ここでは「障害者控除」から「相次相続控除」までの条件や内容について詳しく見ていきましょう。
贈与税額控除は3年以内の生前贈与
「障害者控除」は、85歳未満の障害を持った相続人が対象です。未成年者控除と同じような算出方法になっており、85歳になるまでの年数×10万円が控除されます。また、特別障害者の場合には、控除額が2倍になります。
相続税額以上の控除があった場合には、その分ほかの相続人の税額から控除することができる点も未成年者控除と同様です。
次に「贈与税額控除」です。これは、税金の二重納付を避けるための制度。被相続人が亡くなる前、3年以内に生前贈与を受けた相続人にのみ適用されます。
贈与税額控除はあるけど還付は別手続き
贈与された財産に対して贈与税を納めていた場合、その贈与分を相続財産に戻して相続税額を計算してしまうと、贈与された財産に対して2回税金が発生してしまうことになります。そのため、贈与税として納めた分の金額が、相続税から控除されるのです。
ただし、仮に相続税以上の金額の贈与税を納めていたとしても、相続時精算課税制度を利用していない限り、その超過分が還付されることはありません。贈与税として納めた金額が大き過ぎる場合、相続税で納める必要はありませんが、払い過ぎた分に関してはそのままになってしまうのです。
これと同様、重複して納税することを避けるための控除に「相次相続控除」があります。これは2回の相続で、たとえば祖父が亡くなって遺産を相続した父が、祖父の死から10年以内に亡くなった場合、祖父からの相続財産が父に相続されるときと子に相続されるときの2回課税されてしまうことになります。それを避けるために、一定金額の控除が用意されているのです。