宅地の評価方法「路線価方式」と「倍率方式」
財産としての価値も大きく、かつその計算が難しいため、相続においてさまざまなトラブルの原因になる財産のひとつが「不動産」です。この評価額が複雑になるのは、建物と土地の両方が評価を受け、それぞれが課税されるから。宅地の評価方法である「路線価方式」と「倍率方式」を見ていきましょう。
路線価方式は国税庁公表の価格で計算
相続する際には、住宅の場合など実生活に関わる可能性もありますし、金額も大きくなりがちなので、きちんとその基準を知っておく必要があるでしょう。また、一定の条件を満たしている物件に対しては、「小規模宅地の特例」という評価額を引き下げる特例を適用することができるようになります。
不動産の評価額は、株式などを相続する場合と同様、相続が開始された時点での時価で評価することになっています。しかし、不動産にはまったく同じ条件という物件はあり得ず、市場価格を参考に評価額を算出することはできません。
そこで、特定の基準と計算方式が設けられており、その方式に合わせて評価額が算出されるのです。
宅地の評価方法には「路線価方式」と「倍率方式」のふたつがあります。まず、路線価方式というのは、毎年1月1日に国税庁から公表されている土地の価格をもとにした土地価格の評価方法のことです。
倍率方式は固定資産税の評価額に評価倍率
都市部にある不特定多数の人物が利用する道路には、その道路に面した土地1平方メートルあたりの基準価格が設定されています。それが路線価です。この路線価に実際の土地の面積をかけた価格が、土地の評価額の基準になります。
これに対して倍率方式は、郊外などで路線価方式が適用されないときに宅地の評価額を算出する方法です。固定資産税の評価額に、地域ごとに毎年定められる評価倍率をかけあわせることで算出します。この方法をとる場合、評価額や倍率について調べておく必要があります。
なお、固定資産税評価額は、市区町村の役所の固定資産課税台帳に記載されています。これは一定の基準に基づいて市長が決定し、記録する価格です。売買や新築などによる変更がない限り、3年ごとに更新されていきます。
この固定資産税は毎年納めているはずなので、もし相続した固定資産税評価額を知りたい場合は、まず被相続人宛てに届いている納税通知書で確認します。