遺族補償給付は故人の雇用者の肩代わり労災保険

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家計を支えている人物が亡くなったとき、遺族は主に遺族年金や死亡一時金などで生活を維持するのが基本です。ただし、もし故人が業務上の事故で亡くなっていた場合にはその限りではなく、遺族補償給付も受給可能になります。業務上の理由で亡くなった場合に年金を一部支給する遺族補償給付を見ていきましょう。

遺族補償給付の受給者の順位と条件

遺族補償給付は労災保険の一部。本来は故人の雇用者が遺族を助けなければいけないのですが、それを肩代わりしてくれるのが労災保険です。遺族補償給付には、遺族補償年金と遺族補償一時金とがあり、受給者によって支給内容が異なります。

遺族補償年金の受給資格を持っているのは、故人によって生計を維持されていた配偶者、子ども、両親、孫、祖父母、兄弟姉妹です。配偶者は無条件に受給できますが、それ以外の受給者には条件が課せられています。また、彼らには順位があり、上位者がいると下位の人は受給できません。

遺族補償給付の受給者の順位と条件は１位が妻か60歳以上の夫、２位が18歳になって最初の３月31日を迎えていない子ども、３位が60歳以上の両親、４位が18歳になって最初の３月31日を迎えていない孫、５位が60歳以上の祖父母です。

続いて、６位が18歳になって最初の３月31日を迎えていない、または60歳以上の兄弟姉妹、７位が55歳以上60歳未満の夫、８位が55歳以上60歳未満の両親、９位が55歳以上60歳未満の祖父母、10位が55歳以上60歳未満の兄弟姉妹となります。

なお、１位から６位までは、年齢制限の代わりに障害等級第５級以上の身体障害でも受給が認められます。

遺族補償給付の給付基礎日額とは

遺族補償給付の給付基礎日額とは平均賃金と同様で、死亡の原因となった事故や病気の確定の直近３カ月間における、１日当たりの平均給与額をいいます。給与ベースの遺族補償年金と、一律に支払われる遺族補償一時金、さらに条件を満たせば、直前１年間に受け取っていたボーナスを基準にした遺族特別年金が支払われます。

これに対し遺族補償一時金は、故人が亡くなった時点で、年金受給者がいない、もしくは全受給権者が失権しており、彼らの受給した年金などの金額が一定以下だった場合に支払われます。

こちらも受給権には順位があり、最初が配偶者、次に故人に生計を維持されていた子ども、両親、孫、祖父母、続いて生計が別の子ども、両親、孫、祖父母、その下に兄弟や姉妹がきます。

遺族補償給付の請求書手続きの書類

支給されるのは、遺族補償一時金と遺族特別支給金、遺族特別一時金の３つの合計。受給権者がいない場合とそれ以外とで計算が異なります。

前者なら遺族補償一時金として給付基礎日額の１０００日分と、遺族特別支給金の３００万円、遺族特別一時金にあたる、算定基礎日額の１０００日分が支給。後者では遺族特別支給金がなくなり、遺族（補償）一時金と遺族特別一時金は、それぞれ給付基礎日額と算定基礎日額の１０００日分から、年金などの合計額と遺族特別年金の合計額を差し引いた残額の受給になります。

遺族補償給付の請求手続きは、年金でも一時金でも請求書が労働基準監督署に用意されているので、死亡を証明する書類や戸籍、請求者が故人に生計を維持されていた書類と一緒に提出。金額計算などが多少複雑なので、申請する際は労働基準監督署や勤務先の担当者に相談するといいでしょう。