遺産分割協議書には新たな財産の対処法を記載
遺産分割協議を行う際には、相続人が何人かということだけではなく、相続人がどんな人物かが問われるケースもあります。それは、たとえば相続人が未成年や認知症である場合です。その相続人は法律行為をするだけの能力を有していないと判断されるため、相続権を失うわけではありませんが、協議に参加する権利は認められなくなるのです。
遺産分割協議で財産自体について協議
しかし、それを理由に彼らに不利な遺産分割協議が進むようなことはあってはならないことです。そこで公正に協議を進めるため、家庭裁判所に申立を行い、「特別代理人」を選任してもらわなければいけません。
特別代理人が、未成年者に代わって協議に参加し、署名押印していれば、その協議書は公的なものとして認められます。認知症の相続人については、代理人ではなく、成年後見人を選任し、同じく署名押印してもらうことで、協議を進めることができるのです。
なかには相続分割の割合だけでなく、遺産として相続される財産自体について協議が必要になる場合があります。たとえば、被相続人が所有していた財産の名義が、相続対策のために相続人のひとりに移されているケースなどです。被相続人が、不動産を利用して相続税対策を考えていた場合によく起こる問題です。
遺産分割協議の段階で対処法を記載
その名義人である相続人は自分の所有を主張するかもしれませんが、相続対策であった以上、ほかの相続人はそれも相続財産の一部として扱うべきだと考えるでしょう。
相続財産の範囲自体が不確定の場合には、それを確定するための協議や家庭裁判所の調停・審判、場合によっては、「遺産確認の訴え」というかたちで民事訴訟すら必要になるのです
また、以上のように、遺産分割の手続きを行ったとしても、その時点では判明していなかった財産が協議の終了後になって新たに出てくるという可能性もあり得ます。
本来ならば、その都度改めて協議を行い、その財産を誰が相続するのか決定しなければならないのですが、遠方に住む親族などがいる場合もあり、そう簡単なことではありません。
そこで、遺産分割協議の段階で、新たに財産がみつかった場合に誰が相続するかなどの対処法を決め、記載しておくという方法があります。煩雑さを避けるためには、十分役に立つ方法だといえます。