遺産分割協議が終わった後に遺言書が見つかった
家族が亡くなり、遺産を分配して、ようやく相続の手続きを済ませたと思っていたら、後になって大変なことが発覚…。遺産分割協議が終わった後に遺言書が見つかった事例を見ていきましょう。遺産の分配は相続人同士の話し合いでは解決にいたらず、家庭裁判所に持ち込まれるケースが増加傾向にあるです。
法定相続分通りにと遺産割協議書
良子さんの家庭で相続トラブルが発生したのは、父が75歳で急逝したときのことです。当時、母はすでに病気で亡くなっており、兄と良子さん、そして妹の3人で遺産分割をすることになりました。
しかし、父と同居していた兄は、生前からある程度相続の準備を進めていたようです。葬儀が終わるやいなや、戸籍の取得や遺産目録の作成など、手続きを次々に進めていきました。
遺産の分配も、下手にもめるよりも法定相続分通りにしようと提案。良子さんはそれに納得し、妹も多少不満があるようでしたが、トラブルになるよりはと考え、遺産分割協議書に署名しました。
遺産分割協議書の署名後に遺言書
しかしその後、父の遺品を整理していた良子さんが、遺言書が残されているのを発見してしまいます。急いで検認手続きを行い、内容を確認したところ、「財産の半分を妹に、残りを良子さんと兄に相続させる」と書かれていたのです。
これには良子さんも驚きましたが、妹だけは家の購入や結婚などの際に援助を受けていなかったことを考えると、確かに納得のいく内容です。
これを聞いた妹は「遺言書がみつかったからには遺産分割も無効で遺言書に従うべき」と主張しました。しかし兄がこれに猛反発。お互いに合意し、署名もした以上、遺産分割協議の通りに分割すればいいだろうと反論しました。
しかし、妹もこの協議は遺言書の存在を知らなかったから成立したのだと譲りません。結局家庭裁判所の調停を受け、遺言書通りに遺産を分配することになったのですが、ふたりの間には深い溝が生まれてしまいました。