遺産分割「審判」は不和につながる避けたい手段
遺産分割調停がうまく進まない場合の「審判」に出頭した各相続人は、自身の主張について裏付けとなる資料や書類を提出し、その内容についての主張をまとめていきます。その後、随時審判の争点についての情報を整理し、話し合いを行います。最終的にそれらの内容から、裁判所が審判を下します。
審判の場合の遺産分割は法定相続分に従う
ただし、審判の過程で話し合いが成立し、合意が得られる場合もあります。そのときは、調停成立とみなし、調停調書が作られることになります。
審判の場合の遺産分割の割合は、法定相続分に従うのが基本。各自の事情についてはほとんど考慮されず、不満が残ってしまう可能性もあります。
また、相続財産のひとつに自宅が入っており、そこに相続人の誰かが住んでいたとしても、そのことについて考慮されない可能性があります。昔からの家で現在居住している自宅ですら、売却して分割するように指示されることがあるのです。
この審判内容は告知された2週間後には確定になります。もし結果に不服がある場合には、確定までの間に抗告手続きを行います。抗告すれば、高等裁判所の抗告審の判断を仰ぐことが可能です。
遺産分割の審判に反した行動をとった場合
2週間の期限を過ぎ、抗告の手続きもしていないのに、審判内容に反した行動をとった場合には、強制執行で財産を取り上げられることもあります。どうしても不服だという場合には、期限を忘れず、手続きを行いましょう。
家事審判にまで進んでしまった場合、それ相応の時間とお金がかかります。場合によっては、証拠の提出と話し合いのために、20回以上も相続人全員で集まらなければならないケースも。そうなればそれだけ審理期間も長引いてしまうため、解決するまでに3年以上かかってしまう場合もあります。
このように遺産分割でトラブルが起き、解決が長引いてしまった場合には、調停が解決しない限り、正しい相続税の納付などもできなくなります。しかし、相続税の申告・納税は、被相続人の死亡から10カ月以内に行わなければなりません。
そこで、このような場合には、各相続人が、一度財産を相続したということにして相続税を納税。解決したあとに修正申告し、追加で税金を納めることになるのです。
相続税は遅れてしまったり、修正が必要になったりした分、追加納税が求められることになり、税額は大きくなってしまいます。それを避けるためにも、できるだけ期限内に解決した方がいいのはいうまでもありません。