遺産分割協議後に財産が第三者の所有権を侵害
相続における「遺産」は当事者の事情によってケース・バイ・ケース。遺産を残して亡くなった「被相続人」と、その財産を受け継ぐ権利を有した「相続人」の関係もさまざまです。個別にさまざまな状況が発生します。例えば、遺産の分割協議後に、その財産が第三者の所有権を侵害していることが判明したときはどうなるのでしょう。
遺産分割の担保責任で財産の瑕疵分を負担
遺産の分割協議によって合意され、分割された財産が、分割後に第三者の所有権を侵害していることが判明したときの遺産相続はどうなるのでしょう。相続した土地の一部が隣家の登記であることが判明したり、事前にはわからなかった賃借権などの制限などがあったりする例もあります。
そのような場合は、分割協議でその財産を相続した相続人が、ほかの相続人に対して新たに明らかになった財産の瑕疵分を、相続割合に応じて負担してもらうように、要求することができます。
これを遺産分割による担保責任といいます。ただし、その請求には期限があり、相続財産の瑕疵があることを知った時点から1年間となります。
遺産分割による負の財産の履行をする
遺産分割協議で、正の財産とともに負の財産の分割も決定した場合、分割相続のあとに相続人の一部が負債分の債務を履行しないようなケースが発生すれば、協議の決定を破棄することはできるのでしょうか。
相続財産をどのように分割するかを相続人間で合意するのが遺産分割合意です。その合意では正負の財産を誰がどのように相続するかが決められることになりますが、相続した財産をどのように処分するかまでを規定しているわけではありません。
つまり、相続人が正の財産と合わせて相続した負の財産=債務を履行するという合意とは異なります。つまり、債務が履行されないことを理由に、分割合意そのものを白紙にすることはできないのです。
記事カテゴリ: カルチャー