遺留分減殺請求しないと遺留分は受け取れない
「遺留分」は法的に認められている権利ではありますが、請求しなければ受け取ることはできません。この請求のことを「遺留分減殺請求」といいます。とはいえ、この請求自体は基本的に遺産分割協議と同様の扱いになるため、個人間で交渉して解決するのが原則です。
遺留分減殺請求を内容証明郵便で送付
遺留分は口頭で請求を行い、その分を受け取っていたとしても、問題はありません。しかし、口頭だけでは後のトラブルの原因になる可能性もあります。証拠を残しておく意味でも「遺留分減殺請求書」を作成し、内容証明郵便で送付するなどして、お互いの合意をかたちで残せるような手続きを行うといいでしょう。
この請求書には、請求する遺留分の割合だけでなく、遺言書や生前贈与で、請求相手が受け取っている財産の内容も記載していなければいけません。
たとえば口頭で交渉を行い、その場で合意が得られた場合でも、合意書を取り交わしておいてください。多少の費用はかかりますが、可能ならば公証役場にいき、公正証書として残しておくとさらに安心です。
家庭裁判所に家事審判申立書の手続き
ただし、もし請求者が生前贈与を受けていたりすると、相続財産の分割が不公平といえるかどうかの判断も容易ではありません。そのため、請求を行ったとしても、合意を得られない場合も考えられます。
そのような場合には、家庭裁判所に「家事審判申立書」と、戸籍などの書類、遺言書の写し、財産に不動産が含まれる場合にはその財産の登記事項証明書を提出し、審判を受けることになります。場合によっては、弁護士に依頼するなどの方法を用いて解決しなければならず、費用と時間もかかってしまいます。
この手続きは、遺言内容を知ってから1年、相続開始から10年の間に行わなければ時効になります。ただし、この時効は請求自体が行われなかった場合の話です。期限内に請求を行っていることが証明できれば、交渉が済むまでは時効が延長されることになるのです。