遺留分減殺請求通知書を送付しないと泣き寝入り
遺留分は、兄弟以外の法定相続人に保障されている相続分の最低限度ですが、だからといって、自動的に引き渡されるものではありません。受け取るためには、請求権を持っており、請求したいと考える相続人が、自ら届出を行わなければいけません。そのためにはどのような手続きが必要なのでしょうか。
遺留分減殺請求通知書を内容証明で送付
遺留分の請求は、ほかの給付金などのように、役所などに申請を行うわけではありません。これは、被相続人が残し、相続人が受け取った財産の一部を請求するもの。基本的には相続人同士の問題なので、それぞれの間でやりとりを行います。
基本的に難しい手続きなどはなく、まずは口頭、あるいは電話などで、請求を行う相続人から、財産を受け取った親族に相談。その時点で了承が得られれば、あとで問題にならないように「遺留分減殺請求通知書」として請求書を作成し、内容証明郵便で送付します。
この請求書を受け取った相続人が、請求書の内容通りに相続分の一部を請求者に支払って完了です。しかしなかには、請求の相談を持ちかけた時点でそれを拒み、その後もまったく応じようとしない相続人もいます。そのようなときは当人同士の間での解決は困難。第三者による調停を受けなければいけません。
もちろんほかの親族などを交えて話し合い、解決することができれば問題はありませんが、それも難しい場合、家庭裁判所に家事審判申立書を提出し、調停の申立を行うことになります。
遺留分減殺請求通知書を拒まれたとき
遺留分減殺請求通知書を拒まれて、家庭裁判所に調停を申立を行う書類には、請求者とその申立を受ける人、両者の住所、氏名、年齢、参考となる書類(遺言書など)の概要などを記載して、1200円分の収入印紙を貼付して提出します。
これを提出したら、裁判所を交えて話し合いを行う日時を決定。裁判所に集まり、話し合いの時間を設けなければいけません。
もしこの調停を受けてもなお相続人が拒むようなら、民事訴訟に発展する可能性があります。そうなるとさらに時間がかかり、相続税の申告などの期限を過ぎてしまうことも…。
しかし、申告が遅れてしまうと延滞税が課せられます。そのため、期限がきたら両者とも現状の相続税額で申告しなければいけません。その後、相続財産が確定してから改めて申告を行なうのです。
なお、遺留分請求権にも時効があります。相続が始まってから、または遺留分が侵害されていると知ってから1年以内。仮に遺留分侵害を知らなくとも、相続開始から10年が経過すると時効扱いになります。
遺留分は、その存在を知らないまま、遺言書の指定だからと諦めてしまうことも少なくありません。泣き寝入りにならないためにも、正しい知識を身につけることが大切です。