遺言執行者が必要なことをしない時はどうする?
遺言を実行するために指定される遺言執行者ですが、かならずしも義務を果たしてくれるとは限りません。遺言執行者が、必要なことをなにもしない場合はどうすればよいのでしょうか。綾子さんは和宣さんと交際しており、長年一緒に暮らしていたものの、籍は入れておらず、いわゆる内縁の妻といわれる状態でした。
献身的に亡くなるまでを共に過ごした
和宣さんは綾子さんより5歳ほど年上だったのですが、綾子さんが43歳のときに職場で和宣さんと知り合い意気投合。交際が始まりました。
しかし、ふたりとも子どもが欲しいとは感じておらず、それまでひとりで自由に暮らしてきたこともあって、気ままな生活を守ろうと籍は入れなかったのです。しかし、そんな生活が15年も続いたころ、和宣さんにがんが発覚しました。
ふたりは大きなショックを受けましたが、病院に通い、治療を受けながら生活。綾子さんも献身的に看病に努め、和宣さんが63歳で亡くなるまでを共に過ごしたのです。
弟を遺言執行者に指定したからと連絡
亡くなる直前、和宣さんは綾子さんに「自分の財産はお前に相続して欲しいから、公正証書遺言にその旨を書いてある。弟を遺言執行者に指定したから、連絡して相続手続きをしてくれ」と告げていました。
そこで綾子さんは和宣さんの死後、彼の弟に連絡したのです。しかし、以前から内縁関係がよく思われていなかったこともあったのでしょう。弟はいつまでたっても執行者としての役割を果たしてくれません。
そこで、綾子さんは家庭裁判所に相談しました。すると期日を決めて遺言執行者に行動を迫ることができるとわかったので、その手続きを経て、無事に相続を行うことができたのです。
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