相続手続きに必要な「遺言執行者」の役割とは?
遺言執行者とは、被相続人が遺した遺言書の内容を実現する人物のことです。任せる相手について遺言者に希望がある場合は、あらかじめ遺言書でその旨を記載しておくことで、付き合いのある専門家や、相続人のひとりなどを指名し、任命することができます。
遺言執行者の権限が法改正で明確化
相続人が遺言執行者になるとほかの相続人の利益と相反するように思われますが、この場合は、法律上問題ありません。もし遺言書にその指定がなくても、相続人が家庭裁判所に申請して、専門家を選任してもらうことも可能です。
遺言執行者は遺言書の指定にしたがって、財産の相続を行います。元々法的に定められていた相続人の代理という立場に加え、2019年の法改正では「その権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる」という記述が追加され、その権限もより明確になりました。
不動産の登記変更や、凍結された銀行口座の解除、解約なども、遺言執行者の権限で行うことができます。
遺言執行者には多くの責務も課される
ただし、遺言執行者には多くの責務も課せられます。まずは遺言内容と遺言執行者として就任した旨を相続人に周知し、その後、財産の整理と目録の作成、子の認知や相続人の取消などの連絡や役所での手続きも執行者の仕事となります。
これらの業務が困難に感じた場合は、遺言執行者を辞退することもできますが、できるだけ早くその旨を伝える必要があります。
相続手続きでは、相続人から期限を決めて返答を求められるような場合もあるため、もし遺言執行者の指名を受けていたなら、遅れず返事ができるようにしておきましょう。
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