遺言書が必要だがその内容が絶対とは限らない
法律によって正しいと認められ、相続に活用できるのは、書類の形として残された遺言だけに限られます。被相続人が生前、口頭で話していた内容はもちろん、たとえ、テープやDVDに残されたものであっても、書面でなければ法律上は無効になります。形式には厳しいルールが設けられているのです。
遺言書の不平等感の解決に最低限の相続権
遺言書をみつけ、家庭裁判所の検認も受けて、遺言書の中身を確認したら、基本的にはその内容通りに相続を行うことになります。とはいえ、相続に必要な各種手続きや財産の調査など、なにをすればいいのか分からないという人も多いのではないでしょうか。そこでまずは、遺言執行者を決定します。
これは、被相続人が遺した遺言を元に、専門知識をもってその内容を実現する人物のこと。遺言のなかで、付き合いのある弁護士や相続人などを指名しているのが一般的です。執行者の指定がない場合は、家庭裁判所に選任させることもできます。
こういった人物も関わって遺言の実現に向けて動くことになるのですが、そうはいってもすべてが実現できるとは限りません。
たとえば「三男に全財産を相続させる」などと書かれていた場合には、長男や次男、配偶者は不公平を感じ、不満を抱くことになるかもしれません。この遺言書の不平等感を解決するため、被相続人の配偶者と子ども、父母には遺留分という最低限の相続権が定められています。
生前に遺言書の有無だけでも確認しておく
この親子や孫などの親族を、直系親族といいます。遺留分の請求にも手続きが必要であり、手続きには一定の期限が設けられているので、注意する必要があります。
また、法定相続人でない人に財産を残すためには、遺言書が必要となりますが、その内容が絶対ではないということを頭に入れておいてください。
遺言書が残っていた場合、以上のような手続きを行い、遺産相続が進んでいくことになります。大変そうに思えるかもしれませんが、それでも遺言書がない場合よりはずっとスムーズです。
とにかく生前に遺言書の有無だけでも確認しておくことは大切。もし被相続人が遺言書を作成していない場合は、準備しておくように事前に相談しておくのも手です。法律的に効力があるとないとでは、遺産相続の手間や苦労が大きく異なるのです。