遺言書に記載された財産が生前に処分されたら?
相続における「遺言書」はそれぞれの事情によって権利関係が複雑に絡まるため、個別にさまざまな状況が発生します。そこで、遺産に関しての一般的な疑問をまとめまてみました。ここでは「遺言書に記載された財産が生前に処分されている」と「遺言書の内容に付言事項が記載されている」を見ていきます。
遺言書の作成後に記載された財産を処分
遺言書に記載された財産が被相続人の生前に処分されているようなケースでは、遺言内容はどのように扱われるのでしょう。
被相続人による遺言書作成の後に、遺言に記載された財産などの処分などによって、相続財産が実態と異なってしまった場合には、その部分に関しての遺言を撤回したものとみなすと法律に規定されています。
たとえば、相続人を指定した資産が売却などで失われたケースでは、実際にはその遺言内容自体が実現できないのですから、遺言そのものが撤回されたことになります。
遺言書の付言事項に法的効果はあるのか
遺言書の内容に付言事項が記載されている場合には、それに法的効果はあるのでしょうか。通常の相続財産の指定などに加え、「遺留分減殺請求はみとめない」などの条件が記載されることもあるようです。
しかしながら法律では、遺言に記載することで法的効力が生じる内容(遺言事項)が定められています。平成30年7月時点でのその内容は、以下の15項目ですから、それ以外の条件には法的拘束力はありません。
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- 認知
- 遺贈と寄附行為
- 未成年後見人の指定、未成年監督人の指定
- 相続人の廃除および廃除の取消
- 相続分の指定または指定の委託
- 遺産分割方法の指定または指定の委託
- 遺産分割の禁止
- 相続人相互の担保責任の指定
- 遺言執行者の指定または指定の委託
- 遺贈減殺方法の指定
- 遺言の撤回
- 特別受益の持ち戻しの免除
- 祭祀承継者の指定
- 信託の指定
- 生命保険金受取人の指定・変更
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