遺言書が2通見つかったときはどう相続する?
遺言書を残すことは相続において重要なことですが、遺言書が複数出てきたような場合はどうしたらいいのでしょうか。内容が違う遺言書が2通どちらが遺言として有効なのでしょう? 実際に2通の遺言書が見つかった時にどのように相続したかの事例を見ていきましょう。
書斎の引き出しに遺言書を残している
遺言書が相続人たちの争いの種となる場合があります。康司さんのケースでは、父が残した遺言書が、兄弟の争続のきっかけになりました。
康司さんの母はすでに亡く、弟は遠方でひとり暮らし、康司さんは実家で父と同居中でした。父が残した財産は、自宅と預貯金が合計で3000万円ほどで、相続税もかかりません。
父の葬儀後、康司さんと弟は、父の部屋で遺言書を探し始めました。父は数年前、書斎の引き出しに遺言書を残しているといっていたのです。そこで出てきたのは非常に簡単な遺言書で、検認を受けると、康司さんたちへの感謝と共に「家は息子たちに託すので大切に住み続けて欲しい」と書かれていました。
2通目の遺言書をもとに相続をすすめる
その後、父の寝室を整理していると、新たに遺言書を発見。「家を康司さんに、預貯金は弟に相続させる」と書かれていました。そしてなんと、この作成日は1通目と同じだったのです。
康司さんたちは驚きましたが、生前の父はもの忘れが増えており、認知症の疑いがあったことに思い当たりました。診断は受けなかったものの、そのせいで誤ってふたつの遺言を残したのだと考えたのです。
康司さんたちにはどう相続するべきかわかりません。そこで司法書士に相談したところ、内容が曖昧な1通目より、2通目が優先になるとのこと。こうして2通目の遺言書をもとに、康司さんたち相続をすすめることにしたのです。
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