限定承認や相続放棄の申請手続きはどこにする?
「限定承認」や「相続放棄」を選択する場合、申請手続きはどちらも被相続人の住所を管轄している家庭裁判所で行います。もし限定承認を行う場合は、自筆証書遺言の検認の申立を行うときと同様、家事審判申立書の書式を使用します。ただし、遺言の検認の場合とは記入の仕方にいくつか違いがあるので、その点も確認して間違いないように記入しましょう。
限定承認には公告の手続きが必要
この書類を記入したら、申立人が相続人であることを示す戸籍謄本などを用意。それらとともに、家庭裁判所に提出します。この申請のあと、限定承認の場合はさらに必要な手続きがあります。
それが、限定承認の公告です。まずは相続財産のなかから債務を清算しなければならないため、債権を持っている人物に、債権の請求をしてもらわなければいけません。
また、遺言によって遺贈を受ける予定だった人物は、受ける遺贈分が減ってしまう可能性があります。そこで、それらの人物に、限定承認を申請したことを、申請後5日以内に告知しなければいけないのです。
その後、財産の管理者が請求された債務を清算し、財産が残ればそれを受遺者に弁済、それでも残った財産が受け取れます。この清算まで行ってようやく限定承認は完了です。
限定承認や相続放棄の申請期間を延長
相続放棄を選択する場合は、相続放棄申述書という書類を提出します。この申述書には、申述人と被相続人の住所や本籍などの情報、申述人と被相続人の関係、相続放棄の理由、放棄する財産の内容を記述します。そして戸籍などの書類とともに家庭裁判所へ提出するのです。
これらの申請手続きを、被相続人の死後3カ月以内に行うのですが、もし期間内の申請が困難な場合には、限定承認や相続放棄の申請期間を延長する方法も用意されています。
ただし、延長手続き自体も締め切りは同じ3カ月後。忘れてしまえば自動的に単純承認扱いになってしまうので、忘れないように注意が必要です。
そうはいっても、親族が亡くなったあとは忙しく、相続の手続きも時間がかかります。債務の確認が遅くなり、期間を延長しても、相続放棄などの手続きが終わらないこともあるでしょう。
そのような場合、十分な理由を説明できれば、さらに期間を長くすることができます。解決策が用意されていますから、手続きに困ったり遅れてしまったりしても慌てずに、まずは専門家や税務署に相談してみるようにするべきです。