預金凍結で引き出しができないトラブル事例
銀行口座の名義人が死亡したことが金融機関に知られると、口座は凍結されてしまい、入出金ができなくなってしまいます。被相続人の死後、預金が引き出せないトラブル事例を見ていきましょう。貴子さん夫婦のひとり息子は、すでに独立し、遠方で暮らしています。
所有者が亡くなったことで預金凍結
夫はすでに定年退職しており、貯蓄と年金で生計を立てていました。そんなある日、夫が病気にかかり、そのまま帰らぬ人になってしまいました。貴子さんはすぐに息子に帰ってくるように連絡。親族や近所の知り合いにも連絡し、葬儀の準備に取りかかりました。
葬儀自体は滞りなく終了。息子もしっかり手伝ってくれて、とくにトラブルもなく済みました。相続や遺品の整理についてなど、まだ息子と相談しておくべきことも残ってはいましたが、急を要する手続きなどは一通り片付いていたので、息子は仕事があるからと、一旦自分の家へと戻っていったのです。
問題があったのはこのあとでした。現金が必要になったため、銀行から夫の預金を引き出そうとした貴子さん。ところが、なぜか引き出すことができません。慌てて窓口で確認をとると、この口座は所有者が亡くなったということで預金凍結されているといわれてしまいました。
預金凍結でも仮払いによる払い戻し
じつは、夫名義のクレジットカードがそのままになっていることに気がついた貴子さんは、年会費を取られる前にと、葬儀が終わってすぐに銀行に連絡し、カードを解約したいと相談していたのです。
この相談を受けた銀行は口座を預金凍結。その結果、貴子さんは預金を引き出すことができなくなってしまったのです。窓口で詳しい話を聞くと、戸籍などの書類を用意すれば全額ではないものの、仮払いのかたちで払い戻しはしてもらえるとのこと。貴子さんは急いで書類を取り寄せ、どうにか難を逃れました。
故人の預貯金は死亡した時点で遺産相続の対象となり、金融機関はその口座を凍結します。相続人が確定する前に一部の相続人が勝手に引き出して、他の相続人と揉める…というようなトラブルを回避するためです。