限度額を超えると戻ってくる高額介護サービス費
高額介護サービス費とは、介護サービスを利用した際に、1カ月に支払った利用者の負担の合計額が上限を超えた場合、超過分が払い戻しになる制度です。介護保険サービスの1割から3割の合計を超えたときに利用できます。「要介護」ではなく「要支援」でも、上限を超えていれば支給を受けることが可能となっています。
高額介護サービス費の自己負担上限額
高額介護サービス費の自己負担上限額は所得によって基準が異なっています。ひとりでは上限額を超えなくても、世帯で上限額を超えていれば、それぞれに配分された額を支給してくれます。
たとえば、自己負担上限額1万5000円の単身高齢者が、1カ月に2万円を負担した場合、5000円が戻ってくることになります。
世帯で合算する場合は少し複雑な計算式になります。たとえば、自己負担上限額2万4600円の世帯で、1カ月に夫が2万円、妻が3万円負担した場合、計算式に当てはめると、夫に1万160円、妻に1万5240円の合計2万5400円が戻ることになります。
この制度は、介護施設費などにも適用されますが、居住費や食事代、差額ベッド代、生活費などの自己負担分に関しては適用されないので要注意です。また、在宅サービスに関しては福祉用具の購入費や住宅改修にも適用はされないので、覚えておきましょう。
高額介護サービス費には申請が必要
高額介護サービス費は、自動的に適用されるものではなく、申請が必要になります。この制度の対象になる人に、地方自治体から申請書が送付されてくるので、必要事項を記入し、住んでいる地域の市区町村役場に提出しましょう。自治体によって多少取り扱いに違いがあるので、詳細は各担当窓口に問い合わせてください。
高額介護サービス費の申請提出時は、介護費の用途を証明するために領収書も必要になります。該当する場合は、おおよそ3カ月以内に届くので、それまでは待機しているだけで大丈夫です。
高額介護サービス費の申請は2年で時効を迎えてしまうため、忘れて払い戻しが受けられなくなるのを避けるためにも、申請書が届いたら手早く処理を行うようにしましょう。
高額介護サービス費のほかにも、介護保険では介護サービスを利用する所得の低い人に対して、さまざまな利用者負担額の軽減措置を受けられるようになっています。利用する場合は、住んでいる地域の市町村が発行する利用者負担額軽減確認証等が必要になります。
高額介護サービス費の対象サービス
高額介護サービス費の対象となるサービスの「社会福祉法人等による生計困難者に対する利用者負担額軽減制度」は、社会福祉法人等が実施する介護老人福祉施設や、訪問介護等の施設、居宅サービスなどが対象となります。
軽減される額は、利用者負担の4分の1(老齢福祉年金受給者は2分の1)。詳しくは受け取った軽減認定証に記載されています。
もうひとつの「障害者ホームヘルプサービス利用者に対する支援措置制度」は、訪問介護などが対象。軽減額についてはサービスによって、細かく定められていますが、おおむね利用者負担額の一割程度となっています。
これらの制度のほかにも、各市町村が独自で制度を設けている場合があるので、詳細については、自治体の保険担当窓口に確認してください。