高額介護サービス費制度の上限は要介護と無関係
介護保険では、当然すべてのサービスで費用がかかります。保険を活用したとしても費用の負担はあります。各世帯での介護負担の平均額は、決して小さい出費ではありません。しかし、このコストだけで判断するのは禁物。介護を行う家族の負担も重いからです。「高額介護サービス費」についてみていきましょう。
高額介護サービス費制度は所得で決まる
高額になりすぎた医療費の還付を受けられるのが、「高額療養費制度」。介護保険でも、これに類する制度が用意されています。それが「高額介護サービス費」です。
介護保険では、自己負担を最高で1割にまで減少することができます。しかし、たとえば自宅に介護ヘルパーに来てもらって支援を受けたりしていると、当然その費用は高額になってしまうもの。1割とはいえ家計への負担は大きくなります。
かといって、その負担を避けるために家族が介護に忙殺されるというのも本末転倒です。そのような事態を避けるために、高額介護サービス費制度が用意されているのです。
高額介護サービス費制度の自己負担上限額は、要介護度とは無関係。対象者の所得によって決められています。ただし、上限額には世帯全体の所得も関わっているので、そちらも確認が必要です。
高額介護サービス費制度による月額上限
高額介護サービス費制度による負担の月額上限は、現役並み所得者に相当する世帯の人は4万4,400円(世帯)、世帯の誰かが市区町村民税を課税されている人は4万4,400円(世帯)といった具合です。
さらに、世帯の全員が市区町村民税を課税されていない人は2万4,600円(世帯)、前年の合計所得金額と公的年金収入額の合計が年間80万円以下の人などは2万4,600円(世帯)と1万5,000円(個人)、生活保護を受給している人などは1万5,000円(個人)となっています。
ここで「世帯」とは、住民基本台帳上の世帯員で、介護サービスを利用した人全員の負担の合計の上限額を指し、「個人」とは、介護サービスを利用した本人の負担の上限額を指します。
なお、世帯合算でこの制度を利用した場合、還付される金額は、各個人ごとに計算されます。その計算法は、「世帯の自己負担額合計(1割or2割)-世帯の上限額」×「自己負担額(1割or2割)/世帯の自己負担額合計」。世帯の自己負担合計額のうち、上限超過分を、それぞれが支払った自己負担額の割合に応じて分配します。