高額介護合算療養費制度で高額な介護費用が戻る
重い病気などでは医療費の自己負担額がかなり高額になってしまいます。そのために存在しているのが高額療養費制度です。介護においても似たような制度があり、家族のなかに介護保険の介護サービスを利用している人がいる場合、高額になった介護費が戻ってくる「高額介護合算療養費制度」が利用できます。
高額介護合算療養費制度は1年間単位
高額介護合算療養費制度とは、介護保険の受給者がいる場合に、世帯単位で医療保険と介護保険の自己負担の合計金額が自己負担限度額を超えた場合に、その分の金額が支給される制度です。
高額療養費制度と似た制度ですが、高額介護合算療養費制度は1年間(毎年8月1日~翌年7月31日まで)を単位として、限度額が設定されています。年額56万円が基本となりますが、世帯ごとの所得や年齢によって限度額が異なってきます。
これらの金額を超えたときに、初めて払い戻しの対象となるのです。当然のことですが、所得の少ない人ほど上限額が低く決められていて、より高額介護合算療養費制度に助けられることになります。
例として標準報酬月額28万円~50万円の世帯の70歳以上のケースをみてみると、対象の世帯の高額介護合算療養費制度の自己負担限度額は67万円となります。
ただし、合算できるのは健康保険組合からの高額療養費の給付金や、自治体からの助成等を控除した後の金額です。また、入院時の食事療養および入院時生活療養の標準負担額などは給付の対象になりません。
高額介護合算療養費制度の申請方法
加えて、高額療養費と同様に、入院時の食費・居住費や差額ベッド代等も高額介護合算療養費の対象とはならないので、注意しましょう。
また、医療費・介護保険のどちらかの自己負担額が0円の場合は、この制度の対象外となります。70歳未満の人で、医療保険の自己負担額が、医療機関別、医科・歯科別、入院・通院別に21000円以下になる場合や、支給額が500円以下になるときも、この制度の対象外となり、支給されません。
世帯で合算する場合は夫婦共に後期高齢者医療制度、もしくは国民健康保険制度など、同じ医療制度に加入していることが条件となります。異なる場合は合計して計算することはできません。そのため、年の差が開いている夫婦の場合は、合算できないことが多いので気をつけてください。
高額介護合算療養費制度の申請の際はまず、介護保険の自己負担額を証明する書類を市区町村の担当課で受け取りましょう。次に、7月31日時点で加入している、健康保険の窓口へ申請書を提出することになります。詳しくは、加入している健康保険の窓口で確認することをおすすめします。
高額医療・高額介護合算療養費制度
介護と医療は切っても切れない関係にあることから、介護費と医療費が共に高額になるケースも想定できます。1年間(8月1日から翌年7月31日まで)に負担した健康保険と介護保険の合計が指定の上限を超えた場合は、超過分を払い戻してもらえる「高額医療・高額介護合算療養費制度」を利用することができます。
申請は加入している医療保険の窓口で行います。国民健康保険、または都道府県の後期高齢者医療制度の場合は、自治体の保険課に、社会保険などの場合は、各健康保険組合などに申請の旨を伝えましょう。
申請の際は、印鑑、医療保険被保険者証、介護保険被保険者証、介護保険の自己負担額証明書(国民健康保険および都道府県の後期高齢者医療制度以外の場合のみ。市区町村の介護保険課で交付が受けられる)、振込先口座の確認できるものなどが必要になります。
申請期限は、基準日(7月31日)の翌日から2年間です。ただし、死亡した場合は、死亡日が基準日となり、申請期限はその翌日から2年間となります。