高額療養費制度は死亡後にも申請することが可能
遺族に高額な医療費が請求されるケースは少なくありません。しかし、それには還付が受けられる場合もあります。高額療養費は死亡後にも申請することができるという事例を見ていきましょう。文紀さんの母は70代後半、父はすでに亡くなっており、文紀さんは妻や子どもたちと実家で同居しています。
費用が高くなるとしても治療を最優先
ある日、母がひどい体調不良を訴えていたので、妻に頼んで病院に連れていくことに。すると、命にもかかわる重病にかかっていることがわかりました。妻から連絡を受けた文紀さんが急いで病院に駆けつけたところ、医師からは「手は尽くしますが、長くは持たないかもしれません」といわれてしまったのです。
さらに「できれば入院して治療をした方がいいのですが、今は個室しか空いていません。少々高くなってしまいますが、どうしましょうか」といわれました。文紀さんは、費用が高くなるとしても治療を最優先したいと考え、その場で入院させて欲しいとお願いしました。
その後、文紀さんは毎日仕事が終わったら、病院を訪ね、妻も家事の合間をみて度々母の様子をみにいき、励ましてくれていました。しかし、そんな生活が半月ほどたったころ、母の容態が悪化し、そのまま帰らぬ人になってしまったのです。
高額療養費制度で差額ベッドは対象外
葬儀などが一段落したころ、文紀さんは母の知人から、高額療養費制度のことについて知らされました。なんと高額療養費制度を使えば、かかりすぎた医療費は還付が受けられるとのこと。入院費も含まれるということだったため、文紀さんはすぐに役所を訪ね、請求手続きを行ったのです。
ところが払い戻されたのは、実際に窓口で支払った金額の半額ほど。疑問に思った文紀さんが担当者に尋ねたところ、入院費のうち、個室に入る場合の費用、いわゆる差額ベッド代は保障対象外だといわれてしまいました。
高額療養費制度について詳しく知っていれば、ベッドが空いている病院を探すなどの方法もあったのにと、思わぬ後悔を抱く結果になってしまったのです。