高額療養費の還付金申請期限と相続税の申告期限
故人が生前に多額の医療費を払っていた場合、高額療養費制度による還付を請求することができます。故人の還付分を請求する際も基本的に申請手続きは通常の場合と同様で、必要書類を窓口に提出するだけで問題ありません。ただし、高額療養費支給申請は早めに済ませておかないと、過少申告加算税が科される可能性があります。
高額療養費の還付金は相続財産の一部
なお、故人の高額療養費に対する請求権は、被保険者が亡くなってから2年がたつと失効してしまいます。期限に余裕はありますが、その分忘れやすく、領収書など細かい書類を紛失してしまう恐れもあるため、早めに手続きを済ませておいた方がよいでしょう。
とくに相続税が課せられている人は要注意。高額療養費の還付金は、相続財産の一部として考えられることになるのですが、相続税の申告期限は相続開始から10カ月間です。つまり、相続財産について申告し、相続税を納める時点で、還付金の額を明らかにし、計算に入れたうえで遺産分割をしておかなければならないのです。
もしこれを知らず、還付金を計算せずに相続税を申告しており、それを税務署から指摘されてしまうと、過少申告加算税が課せられてしまいます。
高額療養費還付金を修正申告して延滞税
税務調査の前に申告間違いに気付いて高額療養費の還付金の修正申告を行った場合でも、納税が遅れたことによる延滞税は避けられません。過少申告加算税よりは低税率ではあるものの、不要な加算税は避けたいところです。
なお、高額療養費制度と同じような仕組みは介護保険にもあります。在宅介護などを受けると費用は高額になりがちなので、その分は還付が受けられるのです。ただし、施設サービスを利用する場合の食事や福祉用具に関する費用、あるいは住宅改修にかかった費用は、ここには算入されません。
なお、介護保険は高額になりがちな介護費用の負担を軽減するのもの。申請にあたっては要介護認定を受ける必要があります。健康保険とは異なり、事前に利用するサービスを申請する現物給付になっています。