ジビエ肉を家庭の冷蔵庫で熟成させるテクニック
『料理人のためのジビエガイド: 上手な選び方と加工・料理』の著者でもある神谷英生シェフは、熟成ジビエ肉の第一人者だ。そんな神谷シェフがジビエ肉を家庭の冷蔵庫で熟成させるテクニックを伝授してくれた。肉本来の味が楽しめるジビエ肉の手軽な熟成方法を見ていこう。
肉の熟成と腐敗の違いは菌の繁殖
神谷シェフによれば、肉の熟成と腐敗の違いは、サルモネラ菌やボツリヌス菌、ブドウ球菌といった菌の繁殖が境目となるという。素手で触るとそのリスクは高くなるので、調理するまで生肉には素手では触らないことも大事。
菌の繁殖を防ぐには、氷で冷やす工程も有効となってくる。まず肉にガーゼを巻いて、丸一日冷蔵庫内で馴染ませたら、今度は脱水シートで巻いて密封パックに入れて空気を抜く。それを容器に氷と一緒に入れて冷蔵庫内に入れ、氷が溶けたら水を捨てて氷を追加。これを6~7日間繰り返すのだ。
熟成期間が終わったら、肉の表面をトリミング。表面が黒くなったところを、トリミングして切り落とせばOK。あまり落とし過ぎると食べる部分が小さくなってしまうので、出来るだけ表面を薄くトリミングするように。
ジビエ肉は本来の味がわかる魅力
「ジビエの肉は家畜の肉と比べて、肉本来の味がわかるところが魅力です。年間を通して、季節感はもちろんのこと、自然環境・食環境などがダイレクトに肉の味に現れますからね」
「熟成肉はその肉本来の旨味をいかに凝縮させて、さらに引き出せるかが難しいところでもあり、魅力でもあります。日本のシカ肉、イノシシ肉などは、ヨーロッパに比べて赤身の味が弱い」
「でもしっかり脂分を抜いて、赤身の肉を上手に熟成できれば、旨味の凝縮感もあるし、口どけ感もまろやかなので、むしろ品があってヨーロッパのジビエにも負けない肉になりますよ」
記事カテゴリ: アウトドア