住宅性能表示は第三者機関が家の品質をチェック
品確法のほかに、住宅の品質を保証する制度が「住宅性能表示」です。これは国から指定を受けた第三者機関が家の品質をチェックして評価する制度。建築前の段階における「設計住宅性能評価」と工事完了後の段階における「建設住宅性能評価」があり、客観的かつ統一の基準に基づいた「建設住宅性能評価書」が交付されます。
住宅性能表示は任意の制度だがメリット
住宅性能表示の評価に際しては「構造の安定」「火災時の安全」「劣化の軽減」など、10の分野に分けて等級や数値で表示します。この評価が高いほど、性能が高く、価値も高い家ということができます。
この「住宅性能表示」は任意の制度ですが、高く評価されると、欠陥などでトラブルになった際に、弁護士などの専門家が関与してくれる「指定住宅紛争処理機関」を1万円の申請料だけで利用できたり、銀行によっては住宅ローン金利の優遇などが受けられたり、地震保険が割引になったりといったメリットがあります。
中古住宅を購入する際にも、やはり頼りになるのは「住宅性能表示」です。これは、国土交通省が推進している中古住宅市場の活性化につながる施策のひとつでもあります。
中古住宅の住宅性能表示で空き家問題解決
これまで、日本の家は20~30年程度で評価額がゼロとなってしまうため、世代を超えて受け継がれるものではありませんでした。そのため、中古住宅もなかなか流通しにくいという面がありました。
しかし、今後の少子高齢化を考えると、全国的に空き家の増加が問題になるのは目にみえています。そのため、国土交通省は中古住宅に対して客観的な基準で評価を行い、資産として価値を認め、流通させることで、空き家問題の解決につなげようとしているのです。
中古住宅の住宅性能表示でも、実際に物件を確認して評価を行います。どの程度劣化しているのかを確認できるほか、新築物件と同様に「構造の安定」「火災時の安全」などの個別の性能に関する検査を受けることもできます。
ただし、新築時に「建設住宅性能評価書」が交付された家は7分野27事項の評価が受けられますが、評価を受けていない中古住宅の場合は6分野16事項の評価にとどまることには注意が必要です。とはいえ、まったくなんの評価もないよりはあった方が安心といえるでしょう。
まだ中古住宅に住宅性能表示が行われていないケースは多く、中古住宅の売主や買主も、住宅性能表示ができることを知らない人が多いと考えられます。しかし、第三者機関による評価があれば安心です。
今後、中古物件の流通を活性化させるためにも、中古物件を購入する際には「住宅性能表示」を受けているかどうかを確認することが大切になります。