家づくりに求められる条件は時間とともに変化
理想の家づくりは、エリア、物件タイプ、間取り、そして価格によって決まります。しかし、戸建てでもマンションでも、家を探している人の考える条件のほとんどは、そのときに必要な条件に限られてしまいがちです。しかし、家づくりに求められる条件は時間とともに変化していきます。
家づくりに変化に合わせられる余地
家づくりでは、将来訪れるであろう変化に合わせられる余地を備えているかどうかもあらかじめ考えておく必要があります。
子どものいる家庭なら将来的に子どもに個室を与える必要があるかもしれませんし、兄弟姉妹がいなければ高齢の親と同居することになるかもしれません。選ぶべきはそのような変化を受け入れられる余地のある家づくりといえます。
戸建てでもマンションでも、広さが十分で部屋数も多ければ、将来的な変化を気にする必要はないかもしれません。しかし、予算にもよりますが、それほどの家を買える人は多くないはずです。そうなると、そこに長く住むために工夫が必要になります。
段階的に個室へと移行していく家づくり
たとえば、ある程度の年齢になれば子どもも個室を求めるようになります。購入した時点では必然性のなかった部屋が、将来的には必要になるかもしれないのです。
そんなときには、子ども部屋と両親の寝室などが隣同士にならないように配置するといった気遣いが求められます。また、子ども部屋には鍵を設置するなどして、プライバシーを保てるようにしなければならなくなるかもしれません。
子どもの成長に合わせて段階的に個室へと移行していく家づくりを考えるのであれば、最初は兄弟・姉妹で一緒の部屋にするというのもアリです。成長に合わせて個室で自分の時間と空間を楽しみつつ、寂しくなったらいつでも家族のいる空間へ戻ることができるような工夫もできるといいでしょう。
大きな部屋を区切れるようにする家づくり
たとえば、兄弟・姉妹で一緒に使えるような大きめの部屋を、のちにパーテーションなどで区切れるようにするという家づくりもひとつの手です。そのような大きめの部屋がない場合は、どこを子ども部屋にするのかを購入前に考えておく必要があります。
一方、高齢の親などを引き取って同居する場合はまた違った配慮が必要になります。マンションなら同じフロアなので移動はそれほど難しくありませんが、たとえば、2階にリビングのある戸建てだと階段で移動するのは大変です。
ですから、できれば1階に出入りがしやすい部屋を用意したいところです。さらに、リビングを同じフロアに移して、すぐに家族が集まる場所に顔を出せたり、逆に家族がちょっと顔をみにいけたりするような部屋があればベターです。
外界や家族とのつながりを保ちながら、ある程度の独立性も確保された空間が適切といえます。
高齢でも暮らしやすい家づくり
もっとも、年齢とともに変化していくのは、子どもや親だけではありません。家を建てた自分自身も当然歳をとります。定年を迎えたら有料老人ホームに入るなど、新たに「終の棲家」を手に入れるプランがあれば別ですが、ほとんどの人はマイホームで過ごすことを考えているはず。そうなると、将来的に高齢でも暮らしやすいようなリフォームが必要になる可能性も十分にあります。
子どもが増えたり、高齢の親と同居したり、逆に子どもが出ていったりなど、家族というかたちにはさまざまな変化が起こるものです。そのような変化に対応できる家づくりなら、長く住み続けることができますが、マンションや通常の戸建て住宅の場合、その都度ある程度のリフォームが必要になることの方が多くなります。
それならいっそ、必要に応じて住み替えるという手段も考えておいた方がいいかもしれません。
最初からあらゆる可能性を想定して家を購入したり、建てたりするのは、まず不可能です。夫婦ふたりの時期はマンション、子どもが生まれたら戸建て、そして子どもが独立して家を出たら再びマンションで暮らすなど、ライフステージに合わせて住み替えていくプランを考える方が、そのときどきでの「理想のマイホーム」に住める可能性は高くなるという考え方もあります。
そのためには、次の家の購入に向けて、その当時の自宅の売却も考えなければなりません。プランを立てるだけでも、単に物件を買う場合とは違う難しさが出てくるわけです。もしそのようなプランも考えているなら、専門家に相談してみるとよいでしょう。