建築基準法に周辺との関わりに関する集団規定
都市計画法に基づく用途地域制限と密接に関わってくるもうひとつのルールが「建築基準法」です。建築基準法は個々の建物に対する制限と考えられがちですが、じつは用途地域と大きく関わっています。それが、建築基準法の「集団規定」です。
建築基準法で具体的な集団規定をチェック
建築基準法の集団規定は、建築物を建てることが、どうしても周辺環境と大きく関わることになるために定められた基準のこと。個々の建築物が満たすべき基準を「単体規定」とよぶのに対して、周辺環境との関わりに関する基準を「集団規定」とよんでいます。
建築基準法の集団規定には、かなり細かい規定があるのですべてを理解する必要はありませんが、自分で土地を購入して家を建てようと考えている人はある程度の理解が必要です。建物の高さ、大きさ、敷地と道路の関係に関するものなどさまざまな規定が設けられています。
家を建てようとしている土地がどのような用途地域に当たるのか確認したうえで、建築基準法で具体的な集団規定をチェックしましょう。
建築基準法には個々の建築物に対して単体規定
建築物に関してさまざまな規定を設けている建築基準法ですが、個々の建築物に対してはいわゆる単体規定が適用されます。
単体規定は主に「敷地」「構造」「防火・避難」「一般構造・設備」などについて定めています。たとえば、延べ床面積が1000㎡以上の木造建築物の場合、周囲への延焼を防ぐために外壁を防火構造とする必要があると定められています。
また、建築基準法に細かい規定はありませんが、地盤も気になるところです。とくに、日本は地震大国で、首都圏では直下型、関西や東海地方では南海トラフのズレによって、いずれも近いうちに大地震が起こると予想されています。
そのような地震の被害を最小限に抑えるためにも、用途地域と同時に、地盤もしっかりとチェックしておきましょう。
地形や過去の造成などからある程度の地盤は想像できますが、実際に建てる際には調査も行うようにしましょう。たとえ軟弱な地盤でも、改良工事によって住宅に適した地盤へと変えることができます。
戸建て住宅の場合は地盤をチェックしてしっかりとした基礎をつくるのが大切になります。また、マンションなら地盤のチェックと同時に地盤改良工事や杭打ち、基礎工事などについてもチェックしておきたいところです。
地震の被害を最小限に抑える工法にも注意
地震の被害を最小限に抑えるためには、地盤だけでなく住宅の基礎や構造、工法にも注意が必要です。
住宅には、いくつかの工法があります。戸建てなら、日本では従来からの家づくりに用いられている木造軸組工法をはじめ、北米などの伝統的な家づくりの工法であるツーバイフォー工法の枠組壁工法、家の主要部分を工場で組み立てておき、それを現地へ運んで組み立てるプレハブ工法、ビルやマンションなどと同じ鉄骨造や鉄筋コンクリート造(RC造)などがあります。
一方、マンションの場合、高層のマンションなら鉄骨が多くなりますが、低層では鉄筋コンクリートが代表的。少し前に地盤への杭打ちが不十分で傾いてしまった大規模マンションが話題になりました。
改ざんや手抜きなどは確かめようがないかもしれませんが、それでもやはり、マンションは基礎が重要です。購入する際にはしっかりチェックしましょう。中古マンションでも同じように、地盤や基礎、工法などを詳しく調べてください。
戸建てでもマンションでも、もっとも強度を高くでき、耐震性・耐久性に優れているのは鉄骨造ですが、基礎なども大掛かりなものが必要となり、その分、コストもかかってしまいます。
最近は、木造家屋も進化を続けており、従来の25年程度ではなく、100年程は住み続けられる耐震性や耐久性を追及した住まいづくりが盛んになっています。
地盤に合わせた基礎にしてあるのか、建物の構造に合った工法なのか、耐震性や耐久性はどうか、コストはどれくらいなのかなど、あらゆる条件を照らし合わせたうえで、もっとも安心できて納得できる家を選ぶようにしましょう。