暮しの手帳の商品テスト第1回目はテーマとは?
『暮しの手帖』を国民的雑誌に押し上げた企画のひとつに「商品テスト(日用品のテスト報告)」がある。昭和29(1954)年から平成19(2007)年まで続き、アイロンやオーブントースター、自転車、ミシン、ベビーカー、炊飯器、洗濯機、電球、運動靴など、約250種の商品をテストし、その結果を報告した。
暮しの手帖の商品テストは実名紹介
『暮しの手帖』の「商品テスト」の記念すべき第1回目のテーマはソックスで、子ども用の靴下22種類を比較検討した。小学5年生、中学1年生、中学3年生の女子に対象となる靴下を3カ月間毎日はかせ、洗濯の方法や回数も統一したうえで「穴は開いていないか」「色は剥げていないか」といった点を報告した。
「商品テスト」では商品を実名で紹介したので、よしとされたものは売り上げを伸ばし、逆に批判された商品は売れ行きが鈍った。そのため、メーカーから「商売の邪魔をするな」と注意・忠告されることも少なくなかった。
一方で、「いくら払えば『暮しの手帖』で我が社の商品を紹介してもらえますか?」という問い合わせもあったという。また広告代理店から「広告を載せませんか?」と勧められることもあった。しかし、花森安治はこうした要望を一切受けつけなかった。
暮しの手帖に4万3088枚の食パン
雑誌の収入源には雑誌の売り上げと広告収入とがあるが、「広告を掲載すればスポンサーの圧力がかかり、雑誌が自由につくれなくなる」というのがその理由。『暮しの手帖』のこの方針はいまも受け継がれている。
また『暮しの手帖』の「商品テスト」は、商品の品質向上にも役立っている。たとえば、昭和35(1960)年の第57号に掲載された石油ストーブの回では、国産ストーブの性能の悪さを厳しく指摘した。すると、各メーカーは改良を重ね、石油ストーブの品質は著しく向上していったのである。
そして「商品テスト」の結果を誌面に掲載する際は、そのみせ方にもこだわった。たとえば、自動トースターの記事では、テストで焼いた4万3088枚の食パンの写真を載せている。滑稽にも感じるが、本気でテストに取り組んでいる様子が伝わってくる。こうした演出が読者を惹きつけ、人気企画へと至らしめたのである。
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