熟成肉の基本はバラしていない枝肉の状態で行う
そもそも「熟成肉」については、確固たる定義というものはない。食肉に精通し、自身も狩猟者である國井克己さん。國井さんによれば、食肉の世界で熟成肉は「自然の微生物や酵素などによるタンパク質の分解が生じ、肉のアミノ酸が増え、旨味が増すこと」と認識されているという。
熟成肉のウェットとドライの分類
熟成肉の分類としては「ウェットエイジング」と「ドライエイジング」がある。ウェットエイジングは肉の乾燥を抑えた状態での熟成方法。布で巻いたり、真空パックした状態などで、低温下で2週間ほど寝かせる熟成方法だ。
ドライエイジングは低温かつ湿度が一定に保たれており、肉の周りの空気が流れている状態で1~2ヶ月掛けて行われる熟成方法。出来上がりの肉はナッツのような独特の香りがする。
日本ドライエイジングビーフ協会などから種菌を入手して行うのが正しい方法であり、専用の保冷庫の設置などが必要なため、一般家庭では通常、不可能な方法だ。
熟成肉は従来から枯らしが一般的
ほかに、一般的に口に入る牛肉などの熟成肉は従来から「枯らし」と呼ばれる方法がとられている。これは、屠畜されてから出荷されるまで枝肉の状態で1~4度に維持された保冷庫内において、低温管理しながら2週間ほど吊るしておく方法だ。
エイジング(熟成)の基本は、枝肉で行うということ。骨を外し、肉をバラすということは、それだけ刃を入れたり、肉を手で掴んでいるということになるため、そのぶん肉にダメージが与えられ、傷み、雑菌が繁殖する原因となる。
昔から狩猟者が鹿や猪を、腹を割っただけの状態で冬場の軒先に吊るしているが、これは先述の「枯らし」にあたり、また、肉にダメージが少ないということで、熟成肉としては実は理に適っているのだ。
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