熟成肉を家庭の冷蔵庫で成功させる裏ワザとは?
家庭でも活かせるジビエ肉の調理法&熟成法を教えてくれるのは、東京都内の中目黒でジビエを中心としたフレンチを振る舞う「LaBoucherie du Buppa」(ラ・ブーシェリー・デュ・ブッパ)の神谷英生シェフ。彼は『料理人のためのジビエガイド: 上手な選び方と加工・料理』の著者でもある。
熟成肉は変なニオイが付きやすい
ラ・ブーシェリー・デュ・ブッパ店内に入ると、まず目に飛び込んでくるのは巨大な熟成肉専用の冷蔵庫。この冷蔵庫は特注品で、中は4つの仕切りに分かれ、温度や湿度、庫内の肉に当てる風の速度や向きなどをコントロールできるようになっている。
これぐらいの設備があれば、美味しい肉の熟成には鬼に金棒だが、さすがにそれを家庭でやるのは難しい。そこで神谷シェフに家庭でもできる肉の熟成法を教えていただいた。
「家庭の冷蔵庫はいろんなものが入ってるので、熟成肉に変なニオイが付きやすいんですよね。その辺りも考えて処理をしてくださいね」と神谷シェフ。手順としては、まず肉にガーゼを巻いて、丸一日冷蔵庫内で馴染ませる。
翌日、肉を取り出し、脱水シートで巻いて、密封パックに入れて空気を抜く。さらにそれを容器に氷と一緒に入れて冷蔵庫内に。氷が溶けたら水を捨ててまた氷を追加。これを6~7日間繰り返す。そうすると肉はかなり縮んで旨味がギュッと凝縮される。
熟成肉は冷蔵庫内のどこに置くか
「熟成肉のポイントは冷蔵庫内のどこに肉を置くか。実は庫内の冷気が出る場所に置くのがベストなんです。6~7日が定石だけど、家庭では3日くらいで仕上げた方がいいかもしれないですね」
脱水シートが無い場合には、キッチンペーパーでも代用可能。その際、ドリップが出るので、2日に一度はペーパーを換える必要がある。
ところでキッチンペーパーを剥がすときに、熟成肉にくっついて苦労した方も少なくないはずだ。そういう場合は、オリーブオイルをさっとかけると、油膜ができて簡単に剥がれる。
「ほかにも、冷蔵庫内に余裕があれば小さなサーキュレーターを入れて、1日ぐらい脂の部分に風をあてて水分を抜くという裏ワザもあります」