お得な新しい住まいの形「高性能住宅」とは?
消費税の増税に伴い、新規住宅取得者の負担を減らすための補助制度の基準も大幅に緩和されました。増税後に買ったほうがお得なパターンも考えられます。地球環境が重視される昨今、省エネ住宅の建築や改修は、助成金や減税などによって国を挙げて促進されています。
高性能住宅は高断熱・高気密に作られる
それどころか、2020年には改正省エネ基準が策定され、新築住宅は一定以上の性能を持たせることが義務化されるかもしれません。その際に問題となるのが、断熱性と気密性です。
「断熱」は熱の出入りを断つことで、「気密」は空間を密閉して風や水蒸気などが入る隙間をなくすこと。これが高い住宅は外部からの熱や風の影響を受けにくく、少ないエネルギーで室内を快適に保てます。環境にやさしいだけでなく、冷暖房費も節約できるので、基準値以上の性能を実現し、長期的な出費の削減を目指しましょう。高断熱・高気密には独自の製法が必要に
高断熱・高気密に作られた住宅は「高性能住宅」とも呼ばれます。まず断熱性は、外の気温が伝わる箇所(天井・屋根・壁・床など)に断熱材を入れることで向上可能。素材によって性能は異なりますが、厚くするほど効果が高まるのが基本です。
高性能住宅の工法には内断熱と外断熱
高性能住宅の主な工法には「内断熱(充填断熱工法)」と「外断熱(外張り断熱工法)」の2種類があります。前者は天井や壁のなか、床下といった空洞部分に断熱材を詰め込む手法です。
素材が少なくて済むこともあり、比較的安価で施工できます。一方、柱や梁・間柱の外側に断熱材を張りつける外断熱は、建物全体をすっぽりと覆うので熱が漏れにくくはなりますが、より多くの断熱材を使うので比較的割高になります。
断熱化・気密化をする際には、窓やドアといった開口部にも注意しなければいけません。とくに窓は熱が通りやすく、開け閉めで外気が入ってくるので、どうしても冷暖房の効率が低下してしまいます。断熱性を高めたければ、ガラスやサッシの素材を変えてみましょう。
高性能住宅には複層ガラスで対応
高性能住宅のガラスは、2枚のガラスの間に中空層を設けた「複層ガラス」がおすすめです。アルミサッシは一般的に断熱性が低いとされていますが、樹脂をかぶせることで熱を伝えにくくした製品なども作られています。それらを合わせることで、通常の約3倍の断熱効果が得られるといわれているほどです。
また、窓は大きいほど室内に与える影響も大きいので、断熱化を施すときは大きい窓を優先するべきでしょう。庇を設置したり、窓の外側にすだれなどをつけるのも、日射を遮るためには効果的です。
複層ガラスだけでは対応が厳しい場合は、こうした工夫も視野に入れましょう。高断熱・高気密の住宅において、性能に負けず劣らず気をつけなければならないのが、室内の換気です。空気の循環が悪いと、ダニや空気の汚染、二酸化炭素中毒など、さまざまな問題を呼び起こします。
高性能住宅は「結露しにくい家」
また、高性能宅とは真逆の断熱や気密の性能が低い家では、冬になると空気中の水蒸気が冷えて窓ガラスやサッシに「結露」が発生します。結露には「表面結露」と「内部結露」があり、窓ガラスなどに付着する水滴は前者です。放っておくとカビや木材の腐朽、金属の錆などの原因になります。
一方、内部結露は壁の内部や天井、床下などで発生するもの。普段目にしないため、発生に気づきにくいという難点があります。これが長引くと、壁内の柱や土台が腐食し、強度が低下する危険があるのです。
これを防ぐには、建物全体を正しく換気して「結露しにくい家」にしなければいけません。たとえば、室内で発生する水蒸気も結露発生の要因のひとつです。炊事や入浴など日常生活のなかで水蒸気が発生するシーンは少なくありません。だからこそ、その水蒸気をため込まないために換気が必要なのです。
高性能住宅の全熱交換式換気とは
ただし、とにかく換気をすればそれでいいというわけではありません。窓を開けて空気を入れ換えるだけでは、かえって外から花粉や汚染物質などを取り込んでしまう恐れも。また、温度などは冷暖房を使っていても一定には保てません。このような、空気を丸ごと入れ換える換気を、「第三種換気」といいます。
これに対し、部屋の空気を入れ換えつつ、湿度も温度も、快適なままに保つ換気が「全熱交換式換気」、湿度まで室外に排出し、温度だけを一定にする換気が、「顕熱交換式換気」です。
温暖な地域なら湿度を保つ全熱式、寒冷地なら湿度も入れ替えられる顕熱式がおすすめ。また、ペットを飼っている場合、湿度と一緒ににおいも排出できるため、後者を取り入れたいところです。家を建てるときは、こういった条件まで確認して家の性能を高めましょう。
また、換気はシックハウス症候群の予防にも効果的。建物の施工・維持に使われるさまざまな化学物質によって起こるので、空気中に漂う汚染化学物質を換気によって排出できれば、新築物件でもその危険を減らすことができるのです。