ホグワーツはパブリックスクールをモデルにした
薬草学の授業でハリーたちと一緒になったハッフルパフのジャスティンは、「僕は、ほら、あのイートン校に行くことが決まってましたけど、こっちの学校に来れて、ほんとにうれしい」と言っています【第6章】。「あのイートン校」という言い方に、ちょっと自慢したい気持ちが見え隠れしています。
ホグワーツとパブリックスクール
イートン校は、自慢したくなっても仕方がないくらいのイギリスの名門校です。イギリスの大臣の五人に一人はイートン校の出身であるというデータもあるくらいで、各界のリーダーを数多く輩出している名門です。ジャスティンの母親が「ちょっぴりがっかりして」いたのも無理もないと言えるでしょう。
このイートン校のような、イギリスの私立名門校のことをパブリックスクールといいます。私立なのにパブリックというのはおかしな感じもしますが、貧しい者も含めて広く門戸を開いたことから「パブリック」スクールと呼ばれたものです。
しかし、現在のパブリックスクールは、高額な学費のため、一部の学生以外は上流階級の子弟が集まる学校になっています。
ホグワーツには、このパブリックスクールをモデルにしたと思われる点がいくつもあります。寮制の学校である点、監督生の制度がある点、スポーツが重視されているといった点です。
ただし、現在ではパブリックスクールに通う生徒の多くは通学生ですから、ホグワーツがパブリックスクールをモデルにしているとすれば、少し前の時代のパブリックスクールということになります。
ホグワーツで熱中するクィディッチ
ホグワーツには、ほぼ全生徒が熱中するクィディッチというスポーツがありますが、パブリックスクールでは、昼食後にスポーツの時間が数時間確保され、ラグビー、ボート、クリケットなどが行われています。
スポーツを通じて、エリートとしての犠牲的精神と指導性が身に付けられると考えられているのです。「ワーテルローの戦いは、イートン校の運動場で勝ち取られた」という言葉まであります。
もっとも、クィディッチの場合、選手は選抜制で、実際にプレーする人数はかなり限定されているようなので、スポーツを通じた人材育成という目的で行われているものではないのかもしれません。しかし、多くの学生が熱狂するという点は共通しています。
また、良くも悪くも、寮生の仲間意識が強く、寮同士が競い合うというのも、パブリックスクールと共通する特徴です。また、パーシーに少しその傾向がありますが、監督生が威張っていて他の生徒から嫌われているというのも、パブリックスクールを舞台にした小説などにも描かれている、パブリックスクールの特徴と言えるものです。
■「ハリー・ポッター」おすすめ記事
アルバス・セブルス・ポッターはハリーの次男
アルバス・セブルス・ポッターの苦悩とは?
ハリー・ポッターのダドリーは原作では暴力的
映画でカットされたハーマイオニーの見せ場とは