ハリー・ポッターと呪いの子でのハリーとドラコ
『ハリー・ポッターと呪いの子』は、原作シリーズの終章でまき散らされた伏線を丁寧に活かし、さらに魅力的なアイデアを加えて作られています。ファンはそうした「過去のシリーズに対する愛」を感じながら、「思いもかけないの展開」と「思った通りの展開」に心躍らせるわけです。
呪いの子でとくに喜ばれた関係の変化
そのほか「魅力的だったあの人の意外にダメな面」や「ダメだと思ったあの人の意外にいいセリフ」、「まさかのあの人登場!」や「これはあのエピソードの再現?」などに心ときめかせながら、物語にひたることができるのです。
『ハリー・ポッターと呪いの子』でとくにファンに喜ばれたのは、ハリーとドラコの関係の変化でしょう。日本の漫画作品では、最初に登場した「嫌な奴」は、後に一番の親友になるというパターンが多いので、これまでのシリーズでは「どこでドラコはハリーの仲間になるかな?」と期待して読んでいた人も少なくないでしょう。
結局、「死の秘宝」までのドラコは、「ハリーを殺せない」という気持ちは抱いても、積極的に仲間になるまでには至りませんでした。
ハリー・ポッターと呪いの子で友達に
そうした不満を解消してくれたのが『ハリー・ポッターと呪いの子』です。ドラコは「ライバルキャラ」として、全巻を通してハリーと激突しました。その思想は純血主義に染まりきっていたので、そう簡単に考えを変えることなど、できなかったのでしょう。
しかし、十九年という時間は、そうした思想の間違いをも気づかせてくれています。そう『ハリー・ポッターと呪いの子』は、あれだけ反目し合っていたハリーとドラコが、息子に自分の愛が届かない悲しみで涙を流し、己をさらけ出して、「友達になっていく」物語でもあります。『ハリー・ポッターと呪いの子』が多くの人に愛されるだろうと思うのは、そうした親子愛です。
ハリーが最初にホグワーツ特急に乗った際、出会ったロンやハーマイオニーと親友になりました。ネビルもダンブルドア軍団の頃には大事な仲間でした。そして、ホグワーツ特急よりもっと前にダイアゴン横町で声をかけてきた気取った少年とも、ここで仲良くなりました。
この気持ちのいい読後感があるからこそ『ハリー・ポッターと呪いの子』は“ハリー・ポッター・シリーズ 第8巻 完結編”として、お勧めできるのです。
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