賢者の石の封印はハリーへの試練であったのか?
ホグワーツの教師たちは、賢者の石を守るため様々な罠を仕掛けています。フラッフィー、悪魔の罠、空飛ぶ鍵、魔法のチェス、トロール、論理パズル、みぞの鏡です。これらのうち、フラッフィーや悪魔の罠は、それらが持つ性質を知っている者であれば容易に突破することができます。
賢者の石を守るなら別の場所に隠す
空飛ぶ鍵は、箒を乗りこなす能力があれば取れますし、魔法のチェスや論理パズルは知力で突破可能です。トロールも簡単ではないにせよ、実力のある魔法使いなら失神呪文や錯乱呪文を使って妨害を排除することは難しくないと思われます。
最後のみぞの鏡だけは特殊な目的を持った人物でなければ攻略不可能ですが、それ以外の罠は挑戦者の実力次第で何とかできるものばかりです。
もし、賢者の石を守ることだけが目的なら、魔法学校の1年生が習うような弱点がある悪魔の罠は用いるべきではないでしょうし、鍵は扉の周りを飛ばすよりも、どこか別の場所に隠したほうが効果的です。
また、チェスの駒を置くよりも、問答無用で襲い掛かる動く石像を置いたほうがいいでしょうし、(卑怯なやり口ですが)パズルの正解の瓶にも毒薬を入れておくことだってできます。
賢者の石を守る罠は訓練に近いもの
もっといえば、賢者の石を秘密の場所に隠して、ダンブルドア自身が「秘密の守人」になれば、ほとんど完璧といえる守りになるでしょう。作中に登場するものよりも突破しにくい罠はいくらでもありそうです。
これは数々の罠が賢者の石を守ることだけを目的とするものであるならば、不自然ではないでしょうか。どちらかというと、神話やRPG(ロールプレイングゲーム)に登場する、勇者が伝説の剣を手に入れる過程のようです。
「未熟な者、資格のない者には剣を渡すことはできないが、実力を備えた、資格のある者には、むしろ、剣を手に入れさせたい」…そんな意図があって仕掛けられた、罠というより試練に近いもののように感じるのです。
賢者の石に対するハリーのセリフ
賢者の石に対するこの疑問の答えは「たぶん、僕にチャンスを与えたいって気持ちがあったんだと思う」というハリーのセリフにありそうです。
この時点のハリーは知る由もありませんが、ダンブルドアは今回賢者の石を守り抜いても、ヴォルデモートがいずれ復活すること、ハリーにはいずれヴォルデモートと生死を賭けた対決をしなければならない運命が待っていることを知っていました。
ダンブルドアは「矢のように四階にかけていった」のですから【第17章】、ハリーの勝利を確信していたわけではないでしょうし、ハリーのことを心配もしていたのでしょうが、これから過酷な運命が待っているハリーの成長を促すために、今回の一件が大いに役立つと考えたのでしょう。
最後のみぞの鏡の仕掛けが、ハリーになら賢者の石を取れるものになっていたことも、一連の罠がハリーのために設けられた試練であったことを裏付けているのではないでしょうか。
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