老後の生活費は平均寿命でなく健康寿命で考える
平成28年の日本人の平均寿命は、過去最高を更新しました。男性80・98歳、女性87・14歳という年齢は、どちらも香港に次いで世界第2位です。前年に比べて男性が0・23歳、女性は0・15歳伸びました。しかし、老後の生活費は平均寿命でなく健康寿命で考えなければならないのです。
限られた老後の生活費と平均寿命
定年後に現役からの隠退生活に入っている人にとっては、限られた老後の生活費の問題を別にすれば、平均寿命が伸びたことはうれしいニュースのように思えるかもしれません。ところが、実際のところ、それほど単純な問題とはいえないのです。
もちろん、健康なまま寿命を迎えることができれば、一応の幸せであるといえるでしょう。ところが、人間は年齢と共にさまざまな病や身体の不具合が多くなるものです。近年では認知症など記憶障害系のトラブルを抱える人も増えています。
その結果、人生最後の数年間を、必ずしも健康とはいえないような状況で過ごさなければならない人が多くなっているのです。そんななか、21世紀が始まると共にWHO(世界保健機関)が提唱し始めたのが「健康寿命」でした。
老後の生活費を圧迫する健康寿命
これは、「健康上の問題で日常生活が制限されることのない期間」と定義され、加齢などによって通常の生活に支障が出る年齢がどの程度かを示すモノサシとなっています。
日本人の健康寿命は、平成28年時点で男性72・14歳、女性74・79歳という数字が出ています。平均寿命との差は、男性が8・84歳、女性では12・35歳と決して小さなものとはいえません。
簡単にいえば、男性はほぼ9年間、女性は12年以上も身体や精神的に不自由な状態で老後を過ごさなければならないことを意味しています。健康とはいえない状態で生活することは、本人自身にとって苦しいだけでなく、医療費や介護費も必要となり、老後の生活費を圧迫する要因ともなってしまうのです。
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