モーゼルM712をブルーム・ハンドルと呼ぶ理由
「トミーガン」、「シカゴ・タイプライター」と呼ばれたトンプソン・サブマシンガン。「グリースガン」と呼ばれたM3A1マシンガン、「バラライカ」、「マンドリン」と呼ばれたPPSh-41など、銃には様々な仇名が付けられている。そして、モーゼルM712は「ブルーム・ハンドル」と呼ばれているのだ。
モーゼルM712の格好良くない仇名
その仇名の多くは銃の形状に由来しており、先の「グリースガン」にしても、M3A1の形状が工業用品のグリース(潤滑油)差しに似ていることからその仇名が付けられた。
現代のマシンピストルの先駆けであり、今も尚多くのファンを魅了してやまないドイツ軍用拳銃、モーゼルM712(モーゼル・ミリタリー)にも「ブルーム・ハンドル(箒の柄)」という、お世辞にも格好良くない仇名が付けられている。
これは、細身で丸い断面の独特な形状のグリップが箒の柄を連想させることが由来であると言われている。
モーゼルM712は、1896年に製造が開始されたドイツ製大型軍用拳銃「モーゼルC96」のバリエーションモデルとして1932年に製造された。そのためM1932とも呼ばれている(M712はアメリカの代理店となる企業が付けた型式名である)。
モーゼルM712は多くの映画に登場
シュネルフォイヤー(速射)モデルとして、フルオート・マシンピストルの先駆的傑作となったモーゼルM712は、その特徴的なデザインと迫力から多くの映画や小説でも登場している。そして、その特異な形状において登場人物から冷やかしの言葉を頂戴することも少なくない。
ギャビン・ライアルの冒険小説の名作「深夜プラス1」でも、「箒の柄」と呼ばれるくだりや、その大きさから「トレーラーや貨物列車で運ぶのか?」と揶揄される描写がある。
しかし、その言われようや仇名に反してモーゼルM712はその利点を生かした活躍を見せるのだ。そして、この小説でモーゼルM712は一気に注目を浴びることとなる。
一見すると侮蔑にも捉えられる銃の仇名。しかし、その多くは銃への信頼感や愛着から命名されている。銃とて人とて、それは同じことであろう。
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