モンスターガンM500に用意された「ES」モデル
1955年に名門S&W社が発表した.44マグナム弾を使用する大型リボルバー「M29」は、世界最強の拳銃としての名声を長年に渡り死守していた。しかしその後、.50AE弾や.454カスール弾など更に強力な弾薬を使用する他社の大口径拳銃が登場し、いつしか「M29」の名声は色褪せていった。
M500の存在感はまさにモンスター級
加えて流行のポリマーフレーム・オートへの参入についてもつまづき、低迷を続けていたS&Wだったが、名門の意地と長年において蓄積された技術をもって原点回帰ともいえる「最強の大型リボルバー」の開発に着手することとなる。
そして2003年。.44マグナム弾のおよそ3倍クラスの破壊力を持つ強力な.500S&Wマグナム弾を使用する、S&W渾身の一挺「M500」が登場。世界のガンマニアに衝撃を与えた。その破壊力はもちろん、従来の大型リボルバーさえ小さく見える巨大なシリンダーとフレームの存在感はまさに「モンスター級」であった。
射撃時の発射ガスの量や反動の凄まじさという「最強」ならではのデメリットはあるものの、アメリカでは発売当初には生産が追い付かなくなるほどの人気を博した。
M500ESは緊急時の短銃身モデル
そして2006年には、緊急時の護身用想定した短銃身モデルである「M500ES」が発売された。「ES」とは「EmergencySurvival(緊急時対処用)」の略であり、S&Wのサバイバルキットに同梱されている2-3/4インチの短銃身モデルのことを指す。
このコンパクトなモンスターガンが力を発揮する「ES」な状況とは、狩猟時に熊などの巨大なモンスター級の動物に遭遇した際である。至近距離から熊に襲われそうになった場合、長いライフルやショットガンでは取り回しも悪く、いざという時に瞬時に発砲できるハイパワーハンドガンとしては非常に心強い存在となる。
咄嗟の発砲の際に、その強烈な反動により手首や肩を痛めてしまう確率が高いが、巨大な熊の一撃で命を落としたり重傷を負うことに比べればマシであろう。
サバイバルキットに世界最強クラスのリボルバーが用意されるなんて、さすが銃大国アメリカと妙な感心をしてしまう逸品である。
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