宝塚の花組は歴史と伝統を誇り独自の美学が光る
1921(大正)年に誕生した花組は、宝塚歌劇団5組中、最も歴史ある組のひとつ。宝塚らしい華やかさとチームワークが魅力。5つの組に順位はないのだが、5組の筆頭にくる=宝塚を代表する組としてのプライドがその舞台からもうかがえる。「花組が充実する時代は、宝塚全体も充実する」といっても過言ではない。
宝塚歌劇の伝統を重んじる花組
そんな花組の特徴は、宝塚歌劇の歴史と伝統を重んじ、受け継ぎ、舞台で独自の美学でさらに発展させ続けている点にある。特に男役は歴史的にも正統派が育ちやすく、色気のある魅力的な男役が揃う組ともいえる。
かといって娘役が弱いわけではなく、花組の娘役には「男役を花組の男役たらしめる」実力、魅力、オーラを持つスターが多い。男役、娘役を問わず、「花組のダンス」「花組の男役(娘役)」など「花組であること」へのこだわりを強く持っている組である。
歴史的に見ても花組の一番の特徴、魅力は何と言ってもダンスにある。ダンスに秀でた生徒が多く、群舞でのパフォーマンスもまさに圧巻。ダイナミックでありながら、細部まで計算し尽くした繊細さは「残像まで美しい」と称されているほどだ。
宝塚は花組を観ずして語れない
これは1988(昭和63)年にトップに就任した大浦みずきの功績によるところが大きい。彼女は宝塚始まって以来のダンスの名手といわれていた。他の組子たちもトップを見て高い意識を持ってスキルを上げ、「ダンスの花組」と言われるほどになった。
その後の安寿ミラ、真矢みきといったスターによって「ダンスの花組」としての地位は揺るぎないものとなり、今日に至るまで、ショーの傑作を多く生み出している。花組のダンスを観ずして、宝塚は語れないのだ。
また、花組には「花組ポーズ」なる独特の決めポーズまである。人気スターだった瀬奈じゅんがスチール写真などで披露して注目され、今では舞台でも披露される花組のお約束ポーズになっている。
「花組の男役はどこか母性をくすぐる」と言われるが、これには娘役との関係が影響しているようだ。男役至上主義の宝塚において、男役の魅力を伸ばすために一歩下がるだけでなく、時には一歩前に踏み出すこともあるのが花組の娘役。「こうしてくれたら(娘役は)ときめく=ファンや観客もときめく」と助言することも。
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