退職後の健康保険は3つの選択肢から選択する
定年後の手続きで忘れてはいけないのが退職後の健康保険。会社員が加入している健康保険は、協会けんぽなどが保険主となっている社会保険です。会社に所属していないと受けられないので、退職したあとは新たな健康保険に加入する必要があります。退職後の健康保険は3つの選択肢から選択するのです。
退職後の健康保険に国民健康保険
退職後の健康保険の選択肢には「国民健康保険」「家族が属する健康保険の被扶養者になる」「任意継続被保険者になる」の3つがあります。
国民健康保険は、職域の健康保険に加入している人と生活保護者以外の国民全員が加入する健康保険です。被保険者や被扶養者という区別がないため、社会保険とは違って、同世帯でも加入者全員に保険料がかかります。
国民健康保険に加入するためにはまず、退職した会社から「健康保険被保険者資格喪失届」をもらう必要があります。そして、退職日の翌日から14日以内に、住んでいる場所の担当区役所窓口で手続き。「国民健康保険被保険者資格取得届」を記入して、健康保険被保険者喪失届と一緒に提出します。
保険料の上限は最高で年額73万円。市区町村や所得によって異なりますが、介護保険料を含めると最高で89万円までです。加入日は申込日ではなく、退職前に加入していた社会保険の資格喪失日となります。
退職後の健康保険は家族の扶養に入る
万が一、手続きが遅れて国民健康保険に未加入のまま、病院で治療などを受けた場合は、全額自己負担となりますが、国民健康保険加入後に払い戻しの請求が可能。支払った全額のうち、7割を返してもらうことができます。
退職後の健康保険は自分用の保険料がかからないため、家族の健康保険の扶養に入るのが一番経済的です。ただし、本人の年収が130万円未満(60歳以上、障害厚生年金、障害基礎年金の受給者は180万円未満)という年収の制限があります。また、配偶者や親などの被扶養者として、同居する必要も出てきます。
別居をしていても、被扶養者になることは可能ですが、その場合は年収が被保険者からの仕送りよりも少ないことが条件です。
手続きは、退職日の翌日から5日以内に、扶養者の雇用先を通して「被扶養者届」を健康保険組合などに提出して行います。また、被扶養者として認められるのは、扶養者の3親等以内の親族です。
退職後の健康保険に任意継続を利用
在職中に加入していた健康保険を引き継いで利用する制度が「任意継続」です。退職後、申請なしに同じ健康保険を使って医療機関で診察や治療を受けると不正受給になります。
しかし、退職日の翌日から20日以内に加入先の健康保険組合などに「健康保険任意継続被保険者資格取得申出書」を提出することによって再度利用することが可能になります。被扶養者がいる場合は、「健康保険被扶養者届」と住民票も必要です。
なお、20日を過ぎてしまうと基本的には受理されないので、任意継続を希望する場合はすぐに手続きを行いましょう。また、加入期間は原則として退職から2年間。そのあとは国民健康保険などに加入し直す必要があります。
在職中は、会社が保険料を一部負担してくれますが、任意継続の場合はすべて自己負担です。その金額は、退職時の標準報酬月額、もしくは加入していた健康保険の全被保険者の標準報酬月額平均値のうち、低い方に対応する保険料となります。
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